銀行には紹介をもらって訪問すべきか
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「融資に裏技やイレギュラーがない」と言う話は以前の記事でも書いていますが、コロナ関連の各種融資は稀にみる例外です。
日本政策金融公庫、各都道府県の信用保証協会、商工中金などがコロナ関連の特別融資を扱っていますが、審査状況はまさに「ザル」といった様相です。
不動産投資家がこの制度を利用して、融資を受けた資金を物件の価値アップや購入資金の一部にしていますね。
(※コンスタントに物件を購入している不動産投資家にとっては、購入時に拠出する自己資金も広義の意味での「運転資金」といえると思います。そのまま全額を購入資金に充てるのはどうかなとは思いますが)
とは言え、こういった融資はすべてコロナによって「売り上げが減少」した会社への貸付ですので、現時点で不動産を所有してない方は制度を利用することができません。
不動産を早く買った人と、より良いものを追求していまだに買えていない人とでは、こういうところでも差がついてきます。
◆再現性の乏しいノウハウ
さて、今日は「紹介をもらって金融機関に行く」ということについてお話しします。
僕が不動産投資を始めた頃から、関連書籍には「金融機関には紹介をもらって訪問する」と書かれていました。
このノウハウを知ったときは確かにその通りだと思ったものですが、実際に金融機関を紹介してもらおうとすると、誰にどのように頼んだら良いか全く判りません。
そして実際、15年以上の不動産投資歴の中で、ぼくがが紹介をもらって取引がスタートできた金融機関はわずか1つだけです。
◆銀行アプローチのレベルアップ。
レベル1:ノーアポで飛び込む
レベル2:営業担当(融資担当ではない)にアポを取って訪問
レベル3:紹介者に電話を入れておいてもらう
レベル4:紹介者と同行訪問する
レベル5:紹介者の自宅や会社に同席し、銀行員を呼んでもらう(※3までしか経験ありません)
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) July 31, 2020
唯一の「レベル3」経験は、自分が購入した不動産の売主の方から地場の信金を紹介してもらったものです。たったこれだけ。
自分の感覚では、金融機関の紹介をもらう事は何年かに1度あるかないかのラッキー要素であり、そこに頼るのはいかがなものかと思います。
◆エリアの壁は思っているより高い
紹介が難しい理由はいろいろありますが、まずは「エリアの規制が強くなっている」と言うことがあります。
支店の営業エリア外の顧客に対して取引をすることについて、金融機関がかなり消極的になってきているのです。
これは金融庁等からの指導もあるでしょうし、スルガ銀行のかぼちゃの馬車融資が顧客の居住位置や物件の所在地にかかわらず、特定の支店で集中的に履行されていたことも理由として大きいでしょう。
また、ほとんどの金融機関は「エリア外の顧客を他の支店に紹介した」ことでの成績評価の制度がありません。
なので、仮に紹介をもらってある支店の営業マンと会うことができたとしても、その営業マンが喜んで他の支店を紹介してくれるということにはつながりにくいのです。
紹介を受けた支店は紹介者とのつながりもないため、相当なVIPでない限りは一般の飛び込みと大差はありません。
◆凄い人は凄い人とつながってる
もう一つの理由としては、銀行が前向きに動かざるを得ないほどの力強い紹介ができるほどの人は多方面に人脈があり、そんじょそこらの未経験会社員を、自分の大切な人として紹介すると言う動機が弱い(ない)からです。
もし自分が「力強い紹介ができる」レベルの人であったとしたら、金融機関に紹介しようと思えるのは
・自身が普段から世話になっている人
・自分のクライアント的な人(=自分にお金をくれている人)
・数少ない本当の友人
・紹介が銀行のメリットになるほどの凄い人
・自分が目を掛けている後輩的な人、自分のことをメンターにしている人
くらいに絞られてしまうと思います。
◆あるなら活用、なくても平気
新規の金融機関に紹介されるというのは、そのくらい難しいし貴重なことです。
ですから、金融機関とのつながりがある不動産会社に対しては、自分を優良な見込み客だと認識してもらえるようなアプローチをしていくべきですし、大家会などでそういった取組があるのなら、積極的に参加してみると良いでしょう。
もちろん、ぼく自身(あと多くの投資家さん)がそうであるように、紹介がほとんどなくても新規の金融機関との取引は全然可能です。
銀行が貸したくなるような人や会社を作り、コツコツと開拓活動を続けていきましょう。