滞納保証料を持ち逃げされるリスク
■不動産投資の羅針盤「プレミア投資部」はこちら
■大家さんのための無料Web情報誌「満室経営新聞PLUS」はこちら
引き続いて滞納保証会社について、調べたり考えたりしてみます。
まず、今回廃業を決めたグローバル賃貸保証は、現在有効に存続している保証契約であっても、滞納保証を行わなくなります。
滞納保証会社の廃業といえば、リーマンショックの頃に経営破綻したリプラスを思い出します。業界最大手の会社ということで、影響を受けた大家さんも多かったのではないでしょうか。
当時の記事も残っていました。(画像クリックで全文読めます)
ここで注目したいのは、リプラスは「破産した」ということです。
企業が破産した場合、「破産法」という法律が財産処理などの方法を厳密に規定しています。
破産管財人(裁判所から任命される弁護士)が、破産者の財産や負債の状況などを徹底的に調べ上げ、法律に則った公平な債権分配を行ったり、隠し財産などを暴いたりします。
管財人は破産者の口座を(本人の同意なく)調べ上げたり、場合によっては警察を使うこともできる権利を有していますし、万一破産者が財産隠しなどを行った場合には懲役の対象にもなることもあります。
ですから、一部の生活資金を除いて破産者は「身ぐるみはがされる」ことになります。これならまぁ、債権者も渋々納得するというものでしょう。
しかし、今回のグローバル賃貸保証については「破産した」という情報は見つかりませんでしたので、おそらくは自主廃業に近い形なんだと思います。
数多くの契約者に対して保証債務を持っている会社が、簡単に廃業することが許されてしまうのは非常に危険です。
上場していない保証会社が「今後の支払が激増しそうだ」と思えば、会社を畳んで手持ちの資金を持ち株割合に従って分配してしまえば終了です。
預かった保証料は、税務上「前受金」として負債計上することになっているようですが、会社を清算する場合に前受金を返還する義務がある訳ではありません。
年間パスポートのようなものを売っておきながら期中で廃業しても、明らかな詐欺要素がない限りは咎められることがないのと同じです。単なる「債務不履行」ですね。(税法上は「債務免除益」として普通に利益算入するだけです)
モラルのある経営者であれば、最後の1円まで払える限りの保証を行った上で廃業するべきかと思いますが、そうじゃない人がたくさんいるのも事実。
今回のグローバル社がどういう形で廃業したのかは分かっていませんが、こういった「持ち逃げ」に近いような畳み方をする滞納保証会社が出てこないことを祈りたいです。