ポータルサイトでのリサーチ方法(後編:比較の方法)
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家賃相場や需給状況などを、賃貸ポータルサイトを使ってリサーチする場合の手順にについてお話をしています。前編は「スペックではなく家賃を揃えて検索する」という内容でした。
今日は、家賃が近い物件を並べて比較をする際のやり方をお伝えします。
◆補足:どの家賃帯で比較をするか
「ポータルで検索する場合、家賃は5千円刻みになっているけど問題ないのか」という点についてですが、例えば基本の家賃(自分の物件など)が5.7万円で募集をしようとする場合は「5.5万円~6.0万円」として問題ありません。
6万円ちょうどで比較しようとするなら、物件数が多いところであれば「6.0万円~6.0万円」という検索もできます。
それで比較対象の件数が足りないようであれば、ひとつ下の「5.5万円~6.0万円」でチェックしたほうが良いでしょう。このあとのスペック比較がしやすいからです。
◆1件5秒で比較する方法
エリア(最寄り駅)と家賃のみで絞り込むと、一覧画面はこのような情報が並ぶことになります。
前回も使った画像です。家賃のほかには駅からの徒歩分数、間取りと面積、物件によっては外観写真や間取り図が小さく表示されます。
これをクリックすると、より細かい情報(仲介会社名、室内写真など)が見れるのですが、リサーチでは詳細画面を開く必要はありません。
ぼくがやっている方法は非常に簡単です。以下をご覧下さい。
・「駅からの距離(分数)」「面積」「築年数」の3点を自分の物件と比べる
・上記の3項目のうち、自分の物件が何勝しているかをチェックする
これだけです。
大半の物件で2勝していれば募集家賃は問題はありません。きちんと募集すればすぐに埋まるし、管理会社さんにも「条件的に決まるはずだ」と堂々と主張できます。
3勝している物件が増えてくるようだと、家賃は少し安すぎかもしれません。
逆に、負け越し(1勝または全敗)の物件がちらほらあるようだと、設定家賃が高すぎるということになります。
比較に掛かる時間は、競合物件ひとつにつき5秒程度。かなり効率的に「決まる家賃」を知ることができるでしょう。
◆超えられない壁(ビッグ3)
前に書いた本では、「駅からの距離」「面積」「築年数」の3つを「賃貸スペックのビッグ3」と呼んでいます。
異論はあるかと思いますが、実際に部屋探しをする人が物件を選んでいくプロセスは、「家賃が○万円以下」で「なるべく広く」「なるべく新しい」「なるべく駅に近い」という観点で絞り込んでいきます。
「家賃はいくらでもいいので、セキュリティが完璧な部屋で!」
「何を置いても、センスの良い内装じゃなきゃダメ」
という入居者さんはほとんどいない訳です。
設備や内装、セキュリティなどの要素は、上記のビッグ3を主軸に残った候補のなかから実際に住む部屋を決める際にポイントとなるもので、同じ家賃帯の中でビッグ3が大きく負けていると「足切り」されてしまって終わりです。
ビッグ3は、内装や設備では超えられない壁のようなものです。
お金を掛けてセンスのよい室内を作り上げたとしても、一覧画面の状態で「パス」されて内装写真を見てもらえなかったり、そもそも家賃で絞り込んだ人の検索には引っかかってこなかったりします。
◆失敗をしないための究極のスキル
特に、購入時に一定以上(目安としては2割~)の空室が常態化しているような場合は、テコ入れのために「ビッグ3基準で割安な家賃を設定する」ことは非常に大切です。
管理会社や近隣仲介店から、長年「イマイチな物件」として認識されてしまっている状態ですから、割高(に見える)家賃設定では人が動いてくれません。
まずはリーズナブルな家賃でしっかり満室を実現し、物件に対するイメージが良くなってから「内装や設備などの付加価値をプラスして賃料を上げていく」というステージに移れるようになるんだと思います。
ということで賃貸ポータルを使ってのリサーチ手順についてお話しました。
不動産投資を失敗させないための方法を「ひとつだけ」選ばなければならないとしたら、この「適切な家賃設定をリサーチするスキル」だと断言できます。
正しい家賃設定が分かれば、それに伴う「適正な購入金額」が算出できます。
適正な価格で購入して満室経営ができるなら、不動産投資はそう簡単に失敗できるものではありません。