買おうとしている物件が、想定の利回りでちゃんと埋まるかどうか。入居付けが苦戦している時に、エリアの需給関係に変化があったかどうか。

賃貸ポータルサイトなどを使って市況のリサーチをする機会は、不動産投資家さんであれば頻繁にあると思います。業者さんへのヒアリングも大切ですが、やはり実際のデータで確認できるメリットは大きいです。

しかし、リサーチが上手い人とそうでもない人の差は意外と大きく、効率的にチェックができるコツを会得していると何かと有利です。

今日は自分なりの「賃貸ポータルリサーチ」のコツについてお話します。

◆ポータルサイトか。地場業者へのヒアリングか。

ポータルサイトでの調査は、基本的に都会ほど精度が高くて実態を掴みやすいと思います。

理由はふたつあり、ひとつめは「物件の絶対数が多く登録されているから」、もうひとつは「駅を基準に部屋探しをしている人が多いから」です。

ポータルサイトは都道府県・市町村の選択をしたあとは、駅や沿線でしかエリアの絞り込みができません。

田舎で部屋探しをしている人でも「○○市全域で探しています」ということはなく、人気エリアと不人気エリアの差もちゃんとあるのですが、賃貸ポータルではそこまでの細分化ができていないのが現状です。

（suumoは市の選択をしたあとで○○町まで絞り込めますが、絶対数が少ない中でここまでの細分化すると、対象が少なすぎてリサーチになりません）

ポータルサイトがデータベースとして使いづらいような地域では、やはりクラッシックに地域の不動産会社さんへのヒアリングが効果的です。

◆よくある検索とリサーチ

都市部の賃貸物件を調べる際のコツについてツイートしました。

◆スペックではなく家賃を揃えてリサーチ

賃貸需給や相場を賃貸ポータルで確認する機会があると思いますが、スペックを揃えて家賃を見ようとしても

・全く同じスペックの物件がない
・家賃の幅がありすぎて参考にならない

ことが多いので「家賃を揃えてスペックを比べる」ほうが効率的です。

— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) July 30, 2020

よくあるパターンとしてはこんな感じでしょうか。

今回買う物件は、京浜東北線の東神奈川から11分のところにある木造アパート。間取りは24㎡の1Kで少し古めの築26年。家賃は人によってバラバラで空室も多めなので、いくらできまるかリサーチしておきたい。

これを「スペックを揃えて家賃を調べる」とこんな感じで絞り込みます。

上記の条件で検索をして、一番賃料の低い物件はこちらでした。

築30年、20㎡のアパート。お家賃4.7万円。

同じ条件で、いちばん家賃が高かったお部屋はこちら。

築13年、駅から徒歩3分のお部屋は共益費込みで8万円です。

これでは、自分の物件と比較のしようがありませんので、適正家賃の調査としては甚だ信憑性に欠けると言わざるを得ません。

◆スペックを揃えても、実態がつかめない理由

なぜ、こんなしょぼいリサーチ結果になってしまうのでしょうか。

理由のひとつは、全く同じスペックの物件というのは存在しないから。もうひとつは、ほとんどのポータルサイトで「駅○分以上」とか「築年数○年以上」というような絞り込みができないからです。

今回でいえば、検討物件は「駅から11分で、築26年」でしたが、駅徒歩10～12分に絞り込んだり築25年以上の古いものだけを並べたりという機能が、ポータルサイトにはありません。

築年数を手作業でスクリーニング（新しいものを除外）しても、部屋が広かったり狭かったり、駅からの距離が近かったり遠かったりして「これだな」というベンチマーク物件を見つけるだけでも一苦労です。

そして、見つけたところでサンプルが1～2件ではリサーチの材料としては少なすぎます。

◆家賃をそろえて検索してみると・・・

そこでツイートにあるように「家賃を統一して、スペックを比較する」方法が活きてきます。

先ほどの東神奈川のアパートは、直近の部屋が5.7万円で決まっていたとします。

賃料（5.5万円から6万円）と、物件種別以外は全て指定せずに検索します。

すると、今度はこんな感じになりました。

絞り込み条件がざっくりしているので、先ほどおりかなり多い184件が候補になりました。しかし、ここから先のリサーチは非常に簡単なので何件あっても大丈夫。

次回へ続きます。