新築の「アパート」は良くて「区分」がダメな理由

2020年8月28日

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多くの不動産投資本やセミナーで「やってはいけない投資」として紹介されてしまうことも多いのが、新築ワンルームマンションです。

 

営業マンに多額のインセンティブが支払われる(から割高である)とか、大量供給されているので競争力がすぐになくなるとか、いろんな理由が添えられていますし、理由もなく「ダメだ」とぶった斬るようなコラム記事もよく見ます。

では、同じ新築でも一棟もののアパートやマンションは良いのでしょうか

 

◆両者の違いは「総額」

新築ですから一棟ものも区分も同じように競争力がなくなっていきますし、企業が営利目的で販売しているものなので、当然利益が乗っています。では何が違うのか。

この違いを説明しているような人をあまり見かけませんし、初心者の方には両者を同じように「ダメなもの」として認識されていることも多いです。

 

これについては、先日ツイートしていますのでご覧下さい。

 

区分が投資対象として成立しないのは「一棟ものに比べて総額が小さいから」だと言えます

不動産の融資は「物件の価値(収益性や担保評価)」「借主の属性や資産背景」をもとに審査をされますが、究極的にどちらが大切かというと後者の「借主」のほうです

 

仮に、積算も収益性も十分な一等地にあある優良不動産が10億円で売りに出されたとします。

持っても良し、売っても良しということで、どうやっても儲かってしまうスペシャル物件ですが、特段の資産のない普通の会社員の方だと購入資金を借りることはできません。

しかし、その逆は成立します。

せいぜい1億円の価値しかない不動産が2億円で販売されたとして、会社を上場させて現金を10億円持っている賃貸業未経験者がそれを買おうとした場合、おそらくは2億円フルローンで融資が通ります。

資産に対して、買おうとする不動産の金額が相対的に小さいからです。

 

◆お給料で返済ができるかどうかの違い

新築区分マンションは、確かに相場を考えると非常に割高な価格で販売されていることが多いですが、総額的には一棟ものの何分の1という水準です。

なので、金融機関的に「賃貸事業として成立しない」と査定された不動産であっても、借主(=物件の買主)の資産背景を考えると債務不履行になるリスクは非常に小さいと判断されるのでしょう。

 

ワンルームマンションが2500万円で販売されているとして、金利1.5%の30年ローンの返済額は86280円です。

高めのお給料をとっている会社員の方であれば、十分に支払っていける水準です。仮に家賃がまったく入らなかったとしても

 

新築の一棟アパートが埼玉あたりで7500万円で販売されているとします。上記の区分マンションの3倍ですね。

同じ条件での返済額は、同じく3倍の258840円。家賃収入が手堅く入って来るという予測がないと給与収入だけで支払うには厳しい金額です。

 

だから売り手は「投資として成立する水準」の価格設定にしないと融資が付かず(すなわち売れず)、妥当な利幅にせざるを得ません

一方、区分のほうは利回りなんて関係なく利益を乗せ放題。ここの差が「一棟アパートはアリだけど区分はダメ」な理由ではないかと思われます。

 

◆(参考)なぜ投資として成立しないか

新築区分マンションの多くは、購入直後からマイナスのキャッシュフローが続き、ローン完済後を含めて投資のどの段階で物件を売却しても、それまでの累損(マイナスCFの累計)を売値でカバーできません

むしろ、相当な期間が経過しないと「売値 > ローンの残債」という状態にさえならず、唯一儲かる可能性のあるのは「東京の不動産相場が今以上に上がる」ケースのみです。

 

きちんと知識をつけて、儲からない投資に手を出さないようにするのはもちろんですし、新築アパートの中には良い業者さんもあるので、そういったところは「相手の利益がぁ」なんて毛嫌いせず、ひとつのスタンスとして検討すべきかと思います。

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