自宅は「持ち家」か「賃貸」か(巷の記事はおかしい)
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今日は割と軽めの話をしようと思います。
バブルが終わってから延々と続いている「自宅は持ち家か、賃貸か」という論争について。
◆比較の基準がそもそも違う
Googleで「持ち家 賃貸」などで検索をかけると、たくさんのコラムやニュース、ツイートなどが表示されます。長年に渡って同じテーマでくさんの人が意見を表明しています。
中には、それぞれのメリットとデメリットを挙げて「どちらの価値観を優先するかで決まりますよ」という客観的な結論を導いている良質な記事もありますが、ほとんどが「なにそれ?」という内容です。
例えばこの記事ですが・・・
「家賃は生活をするためのコストに過ぎない」とあり、だから割り切って家賃を払う賃貸が良いですよ・・という結論なんですが、極めて稚拙です。
「食事は生命維持の作業に過ぎない」として、調理や外食を否定しているのと同じですよね。この人は死ぬまで3食、粉を水に溶くタイプの栄養ドリンクだけで生きてれば良いと思います。
このほかにも
・投資家のスタンスは基本5年以内なんて誰の話?
・投資としてマイホームを買うのに、返済割合の話をしている
・家賃を払う必要がなかったことを差し置いて、値下がりリスクの話だけしてる
など、むちゃくちゃです。
あまりに酷いので出典元載せませんが(読者さんがダメ記事に時間を使って欲しくないので)、どうしても読みたい場合は上記の文章で検索してみてください。東大卒の偉い人が書いてます。
◆結論:持ち家のほうが良い
稚拙な記事の多くは、「良いマイホーム」と「ダメな賃貸」を比べてみたり「良い賃貸」と「ダメなマイホーム」のメリットとデメリットを挙げてます。
特に、価値が下がって管理も最悪なマイホームを買ってしまうなら、賃貸にしておきましょうというパターンが多いように思います。
しかし、ベテランの不動産投資家が「自分の価値観やこだわり」を無視して、価値の向上と維持だけを目的に立地と管理の良いマンションを購入すれば、少なくとも経済的な勝負であれば35年間賃貸に住み続けた人に、何千万という大差をつけて勝利することができます。
価値が下がらない不動産に住むということは、家賃がゼロ円であることと同じです。
さらに、日本における最強の資金調達手段である住宅ローンを使える権利を放棄することは、落ちているお金を拾わなかったというレベルでもったいないと言えるでしょう。
従って、ぼくの意見としては「断然持ち家。ただし住宅ローンを使って減税メリットを享受し、良い物件を買うのが前提」ということになります。
◆でもずっと賃貸に住んでます
でも、ぼくはこれまでずっと賃貸住宅に住んでいて、マイホームを購入したことはありません。それはなぜかというと
・住みたいような家は、利回り基準で考えるとかなり低い
・かといって、値上がりするようなタイプでもない
・自分は割と頻繁に住まいを変えたいと思うタイプ
(社会人になってからだけでも、7ヵ所に住んでいます)
・不動産投資的に不利
という4つの理由からです。
会社員を辞めた直後は、これに「高額な住宅ローンを払い続ける不安」がありましたし、最近でいうと自宅の家賃は法人の「社宅」として経費化できるからというのもあります。
価値があがりやすい自宅を買うには、真の一等地の管理が良い高級マンションだったり、これから発展していく場所を見極めたり(=住む場所を選びにくい)と、いろいろと制限があります。
不動産投資については、住宅ローンを抱えているのは不利に働くことが多いですね。
最近の融資トレンドで変わってきたのは「住宅ローン」の扱いです。
年収の10倍とかの融資枠があって、住宅ローンの残債はそこからダイレクトに差し引く金融機関が増えました。
不動産投資の側面だけに限って言えば、完全に賃貸が有利です。— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) September 5, 2020
サラリーマン投資家さんに有利な融資を取り扱っている銀行は、年収の●倍という基準で画一的な運用をしていることが多いです。
だからこそ資力や実績がなくても融資をしてくれている訳ですが、いくらその自宅がローン残債を大きく上回る金額で売却できるとしても「残債は残債」としてバッサリと融資枠を削るような審査をしているようです。
住宅ローンを抱えている「これから大家さん」の方は、自宅を売却することで自己資金も増えますし、いったん賃貸に住むことも検討する価値があると思います。