自社の「経費の金額」ベスト10
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不動産賃貸業における「経費率」というのは、他業態に比べてさほど高いという訳ではありません。
もちろん、ITサービスや情報販売のような「ほぼ利益」という業態には敵いませんが、原材料が大きな負担になる飲食やメーカー、「安く仕入れて高く売る」という卸売・小売業に比べると、賃貸業の経費は多くありません。
◆一番の支出は、経費じゃない「元金」
「じゃあ、この少ない手残りはなんなんだ!」と思われるかもしれませんが、これはもちろん「元金の返済」がキャッシュフローを圧迫しているからです。
元金返済は「長期借入金の一部を現預金によって差し引く」ものであり、経費ではありません。出て行くお金と経費は、必ずしも同じではないのです。
となると、不動産投資家さんが使っている「経費」は何がどのくらいあるのかって興味がありませんでしょうか。
そこで今日の記事では、ぼくの不動産法人における「経費の支出額」をベスト10でご紹介したいと思います。規模拡大中の大家さんの参考になれば幸いです。
◆10位「交際費&法定福利費」
経費の費目はたくさんありますが、ちょうど10位までは「年間100万円以上の支払い」となっている費目でした。10位は交際費です。
ざっくり言うと「飲み食いの費用」ですね。
これは、自分と関係者(不動産会社などのチーム、大家さん仲間など)との飲食が交際費、社員さん向けのものが法定福利費(福利厚生費)となります。
福利厚生というのは「全ての社員に対して一律に提供される」という条件を満たしていれば認められやすいです。
年間100万円の飲み食いっていうと凄く多いようにも感じますが、支払額上位の費目に比べるとほんのわずかなもので、「飲み食いを減らそう」なんて考えてもさほど意味がないなということが分かります。
◆9位「保険料」
主なものは、所有物件で契約している火災保険料です。保険金額で10億円近くの物件を保有していますので、当然それなりの保険料が発生します。
一度大きな事故が発生すれば、全物件への支払保険料の何倍もの金額が保険金として受け取れますので、ここはケチるところではないと考えています。
保険料のコストダウンは、そのままリスクの増大に繋がるので慎重に判断しなければなりませんが、もう少し保有規模が増えると「まあまあ大きな会社用」の契約方式が選択できるようになります。
そうすると、保険料がぐっと安くなる可能性もあるので、それを目指して規模拡大を頑張らなければなりません。
◆8位「支払い手数料」
会社を運営する上で、様々なところに手数料を支払っていますが、この費目の中でいちばん大きな割合を占めるのは、売買の際に司法書士さんに支払う手数料です。
所有権移転にせよ抵当権設定にせよ、支払う金額の大半は「登録免許税」なのでここには含まれません。「支払い手数料」」は純粋に司法書士事務所が受け取る報酬です。
ちなみに、不動産投資において「手数料」というと、物件売買時の仲介手数料をイメージする人が多いと思いますが、実はこちらは経費に算入することはできず、不動産の価格に合算して資産計上するというのがルールです。
もちろん賃貸の仲介手数料は、ここに含まれている「経費」です。
◆7位「役員報酬」
ぼくは、自分の不動産法人以外にも会社の運営に関わっていて収入源があるので、この法人からはさほど大きな役員報酬を受け取っていません。
多額の借入をしいていく法人からは報酬を少なく、なるべく多くの利益を計上するようにして、借入と関係ない会社や個人事業から生活する分の資金を受け取っているようなイメージです。
金融機関からも「過度に役員報酬を取っていないのはプラス評価」だと言われたことがあります。もちろん、いわゆる「役員賞与」をもらったこともありません。
◆6位「業務委託費」
業務委託というと、一般的にはアパート共用部の清掃とか、経理の入力やファイリングなどを外注する費用などがありますが、支払い金額が役員報酬より多いような会社は少ないでしょう。
これは、自分の法人特有の事情がありまして、簡単にいうと自分の持っている別の会社に会社運営上のいくつかの作業を外注している・・という形式を取っているからです。
単なる売上分散(利益が一定額までは税率が低いことを利用したもの)と見なされると追徴課税をくらってしまうので、ちゃんと妥当性が証明できる必要があります。
このスキームがなければ、業務委託費は何十分の1に減るので「ランク外」ということになるでしょう。
◆5位「給与と賞与」
正社員さん1名とパートさんの給与&賞与が、自分の法人で支払っている経費の第5位となりました。安定した家賃売上によって、安定した給与を支払うことができているのは有り難いです。
一応、正社員さんは月例の給与に比べて賞与のウエイトを一般の会社より高めに設定していて(今年度だと、だいたい給与7ヶ月分くらいが賞与)、業績やパフォーマンスに連動させるような工夫はしています。
前の記事でも書いたように、自分の会社は細々とした業務が多いためにかなり人件費割合が高いのですが、それでも家賃売上の1割にも満たない金額です。
残り4つの割合がドカンと大きいということが想像できますね。
次回に続きます。