「2つめに何を買うか」という話
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投資スタンスというのは「最初に何を買うか」という単純なものではありませんし、もちろん同じスタイルのみを永続的に追求ということではありません。
自分の初期を振り返っても、最初が木造の中古アパート。続いて会社の社内融資制度を使って区分マンションを購入、その後に築古のRCマンション・・といった感じでいろんなものを買っています。
◆繰り返しか、バランスか
しかし行き当たりばっかりよりは、ある程度の計画性を持って取り組んだ方が上手くいく確率が上がります。(自分は違いましたが・・)
一棟目を購入する前の段階で、「その後はこういう物件を買おう」という目処を付けておくことは悪い選択ではありません。
2棟目購入について、先日のツイートをご覧下さい。
◆2棟目をどうするか?
・一棟目と違うタイプのものにしてリスクを分散
・同じタイプを突き進む個人的なオススメは前者。どんなスタンスも弱点があり、複数棟保有でそれぞれ補えるから。
ただし、一棟目を買えるかも微妙な自己資金しかないのにこんなことを心配している人はひとつも買えません。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) November 24, 2020
同じタイプを追求して、成功事例を繰り返すのもアリ。しかし、バランスを取るために違うタイプを選択するのもアリ。どちらかというと前者・・というのが、ぼくの考え方です。
◆新築アパートを買った場合の検証
違うタイプの物件を買って、バランスを取るというケースを検証してみましょう。
まず、初心者らしく新築のアパートを購入したとします。
購入金額7000万円 借入6500万円(元利均等2% 25年)
表面利回り7.5% 年間家賃収入525万円
ADS(年間返済額)3,306,060円(初年度の元金返済202万円)
単純キャッシュフロー 195万円
経費や空室を加味すると、年間100~130万円くらいが残りそうです。
ここから所得税・・ということになりますが、3~4千万円くらいの建物を22年掛けて減価償却していく訳ですから、返済が進んでいない状態のうちは、税負担はさほど高くないと思われます。
この投資の長所と短所は、ざっくり以下のような特徴があると言えます。
・キャッシュフローはあまり多くないが、安定している。
・耐用年数を超えた返済をしているものの、与信の既存は少ない
(劣化対策等級などによって、木造新築の融資期間は延びている)
・賃貸経営のスキルは身につきにくい
良い会社と物件を選ぶことができれば、安定した資産形成に寄与すると思われます。ただ、この方法のみで規模をガンガン拡大していくのは難しいでしょう。
◆高利回り中古を買った場合の検証
では、この投資家さんが2棟目に土地値の高利回りの中古アパートを購入したとします。
購入金額2400万円 借入2000万円(元利均等1.8% 10年)
表面利回り17% 年間家賃収入408万円
ADS(年間返済額)2,186,892円(初年度の元金返済184万円)
単純キャッシュフロー 190万円
利回りは高いですが、空室や修繕の費用は新築アパートの2倍程度は掛かります。手残り金額は税引き前で同じく100万円程度でしょうか。
こちらの長所と短所についても、分析してみましょう。
・キャッシュフローは不安定なものの、運営次第でかなり伸びる
・元金の返済スピードが早く、選択肢が多い
(出口で利確のほか、完済や建て替えも視野に入れられる
・賃貸経営のスキルが身につく
・運営は大変。損失を出す可能性は新築より高い。
なかなか完璧な投資ってないものですね。
完璧な物件を青い鳥のように探して何年も経っている人もいますが、「ない」と思い込める人じゃないと、不動産投資をスタートさせるのは難しいでしょう。
◆相互補完はどうなるか
さて、上記それぞれの特徴から想定される「相互補完」は、どのようなものがあるでしょうか。
まず、中古アパートで身につけた修繕や入居付けのスキルは、新築が競争力を失ってきた数年後以降に高いレベルで発揮できます。
古くなってきたとはいえまだ築浅で、間取りや建具などは優位性があります。その状態で「マーケティング」「チーム作り」「価値向上アイテム」などを駆使していくことで、新築の家賃や入居率を長期にわたって維持できる可能性が高まります。
逆に、新築のパリッとした内装や設備を知っておくことは、中古アパートの価値向上にも役立ちます。これぞ相互補完。
また、中古1棟だけだと下手するとキャッシュフローがマイナス化するリスクがありますが、2棟保有していれば最悪「新築から生まれる安定したCF」分だけの保険があるとも言えます。
新築は入居時期が近いので、似たようなタイミング(2度目の更新など)で一時的にごそっと抜けてしまうことがありますが、その頃までに中古アパートのCFが安定していれば、新築のマイナスを補うことができます。
ということで、いろいろメリットがあることを説明しました。
ただ「では木造とRCならどうか」「戸建と区分」などの検証も要りますし、出口についての話もできていないので、こちらはまた今後ということにしたいと思います。