指値の通し方(小手先ではない普遍の法則)
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不動産投資の世界に足を踏み入れた頃。価格交渉、いわゆる「指値」の存在を知って驚きませんでしたか?
提示されている価格を無視して、自分が買いたい値段を書いた紙を不動産会社にFAXすれば、その値段で買えてしまうかもしれない。消費者向け小売価格でしか物を買ったことがない自分にとって、新しい世界が開けたような気がしました。
◆指値ノウハウの有用性は極めて疑問
タダでも要らない物件というのは存在しますが、そうでない限りはどんな物件も価格次第で購入対象になります。
指値という行為は、「全然買える物件がないよ」というご時世においても、スペシャルな自分向けオンリーワン物件を作り出す可能性のある素敵なテクニックであり、できることなら指値の成功率を上げるような技術を身につけたいものです。
そして実際、指値についてのノウハウをブログなどの媒体で公開する人、セミナーで話す人もいますし、売られているDVDもあります。
しかし、ぼくがこういう情報を一通り確認したところ、結局は「売主が承諾したという結果論に過ぎない」という結論に至りました。
要するに、同じ事をしても上手くいかない可能性は十分にあるし、「テクニックを使った場合と使わなかった場合の、成約率の比較ができない」というのは、ノウハウを語る上で致命的な欠陥だと思います。
テクニックを使って指値が通った物件は、何もしないで指値買付を入れただけでも通ったかもしれないのです。そして、それは検証できません。
◆よくある指値ノウハウのパターン
ちなみに、よく言われている指値のノウハウというのは、大きく分けて2パターンに分かれています。
・何かしらの理屈を付けて、自分の提示した価格を正当化する。
・「これだけしか出せない」という感じで、売主の情に訴える。
価格正当化テクニックは、簡単なものだと積算価格と収益還元価格を算出し、低い方で攻めるとか、難しめものだと競売物件の概要書についている鑑定士の意見のようなレポートを作るなどがあります。
情に訴えるテクニックとしては、「こんなに素敵な物件ですから、長く大切に運営します」というような逆に物件を褒めるお手紙を書き、「でも銀行の評価が・・」と他人のせいにして価格を下げてもらうお願いをします。
ぼくは、どちらもやったことがあります(笑)
でも今はちょっと恥ずかしくてできないですね。。価格正当化のほうは、要するに物件を「けなす」訳です。自分がこんなことされたら、もっと安くなったとしても別の人に売ると思います。
※こういう買付もらったことあります。既に満額で買いが入っていたので、ちょっとイヤミなコメントを付けて返却しました。また、その理屈がめちゃくちゃ強引で知識不足なんですよね・・。
情に訴えるほうは正当化よりはマシですが、「そんなに素敵な物件なら高く買ってよ」「銀行がダメでも自己資金出せばいいじゃん(なぜなら素敵な物件なんだから)」と自分が思ってしまうのでダメです。
◆指値の対象は売主ではない
とはいえ、単に希望額を書いただけの指値より成約率が上がる方法というのは、実際に存在すると思います。先日のツイートをご覧下さい。
◆指値の通し方
価格根拠を分析とかお手紙添えるとか種々ノウハウが出回ってますが、結局は売主さんが了承したという結果論に過ぎません。
大事なのは仲介会社に味方になってもらうこと。一緒になって取引を成立させましょうという巻き込み力が、良い取引を生み出すんだと思います。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) 2020年5月30日
指値は、売主ではなく仲介会社に向かって行いましょう。
ぼくの出した結論はこれです。価格の根拠を納得してもらったり、「いい人だから買付が通るように頑張るか」と思ってもらう対象は、買付を提出する不動産会社さんです。
「この価格だと、なかなか反響ないですよねぇ」というような共感から始めるもよし、「融資特約なしで出せる金額だと、このくらいが限界なんですよ」と伝えて、さっさと取引をまとめたいって思わせるもよし。
もちろん、「厳しい価格なのは自覚してますが、何とかお願いします」と仲介会社さんのご尽力に報いる姿勢を見せるのは重要です。
仲介会社さんが何に響いて動いてくれるかは、人によって違います。お金かもしれませんし、義理人情かもしれません。理屈で動く人もいます。
ただ大切なのは、ツイートにもあるように「一緒になって」取引を成立させたいという思いを伝えること。仲介会社さんは取引の相手方ではなく、自分のチームだという認識を持つべきでしょう。
指値ノウハウを使った場合の成約率アップについては検証できませんが、仲介会社さんが自分の味方になっている場合に指値が通る確率が上がるのは、検証可能である上に検証が必要ないほど明らかです。
お客様面して不動産会社とやりとりをするのではなく、チームの一員として巻き込むコミュニケーションスキルが、お宝物件を作り出すために大切なのです。