30代大家さんの相続対策
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3日ほど空きましたが、地味なテーマの続きをお話しようと思います。
◆地味すぎてお客が集まりそうもない不動産投資のセミナー5選
1「減価償却のすべて」
2「腐食と錆の予防講座」
3「火災保険約款の完全理解」
4「30代からの相続対策」
5「賃貸経営と損害賠償」自分への試練として、これを全部ブログ記事として解説していきます(なるべく楽しく面白く)
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) October 25, 2020
今日は「30代からの相続対策」ですね。
30代に限らず、このブログをお読みになっているほとんどの人が、まともな相続対策をしていないと思います。もちろん自分も。。
◆相続対策は、誰にでも必要
損保会社に勤務していた時代、入社5年目から子会社方式で生命保険の販売もするようになりました。相続の対策で生命保険は割とよく活用されます。
生保商品の社員向け研修で、講師からよく
「相続対策」と「相続”税”対策」は違う
と言われていました。
一般家庭において、相続税の納付対象になるほどの相続財産を残す人の割合は、さほど多くありません。しかし、天涯孤独の人でない限り「相続」はあります。
相続財産がマイホームだけという人の場合、財産分与で残された家族が揉めるようなことを避けるため、生命保険によって現金を用意しておきましょう・・みたいなトークで生命保険を販売するのです。
これは不動産投資をしている人でも同様です。
今の段階では債務が多くて相続税自体は発生しなくても、万一の時に保有物件をどう分けるのか、自分ひとりでこなしてきた管理運営をどのように引き継ぐのか(または引き継がないのか)、きちんと決まっている人は多くないでしょう。
◆不動産投資家版「最初の相続対策」
なので、まず最初にやるべき相続対策は、「自分がいなくなった時に、保有資産をどのように扱うのがベストか」を家族などに伝えておくことだと思います。
アパートやマンションを2~3棟持っているくらいの普通の大家さんでも、
・物件ごとの管理会社への連絡先
・運営上の注意点
・中期の見通し(施設のバリューアップや売却時期など)
・売りたい場合の、上手な売り方
などをマニュアルのように残しておくことは、今でもできるし必要です。
突然相続されたアパートが売り出されて、格安で購入できた・・という投資家さんは少なくないと思いますが、対策が不十分だと今度は自分が格安で手放す側に回ってしまうかも知れません。
アパート経営というのは、事業化して社員さんを雇うようになるまでは「家業」のようなものですから、ある程度ちゃんとした引き継ぎ対策をしておくべきかと思います。
◆一般知識
ここでちょっとだけ一般的な相続の知識について説明します。
民法で規定されている「法定相続人」というのは、
「配偶者(必ず入る)」
「子」
「親(被相続人に子がいない場合)」
「兄弟姉妹(被相続人に子と親がいない場合)」です。
ここでいう「いない」は他界している場合も含みます。被相続人というのは、要するに亡くなった人です。
相続税が大半の人に発生しないのは、相続税には「基礎控除」といって「これ以下の財産の場合は課税しない」という基準額があるからです。
基礎控除額は度々改定されていますが、いまの基準は「3000万円+(600万円×法定相続人の人数」です。奥さんと子供が2人という場合は、4800万円になります。
◆死んだ直後に資産家になる
ここで気をつけなければいけないのは、多くの投資家さんが加入している「団体信用生命保険」です。
相続税の評価は「保有している資産-負債」で計算され、ローン残債がたくさんある不動産の評価は大したことがない(マイナスの場合もある)ことが多いのですが、団信によって債務が完済されてしまうと、不動産の評価がそのまま相続財産としてカウントされます。
相続税の評価額は買値とは関係なく、固定資産税評価に近いものですが(建物は同じ、土地は少し高い)、サラリーマン投資家が大好きな「高積算RC物件」は、そのまま相続税評価の高い物件になります。
逆に、積算が大きく割れている都市部の物件などは、市価に対して相続税評価が低いので、相続税の圧縮を狙う資産家に人気があったりします。
資産家でない人の方が、実際の資産に対する相続税評価が高いのです。これは注意しいておかなければなりませんね。
◆相続税対策はいろいろある
実際に行われる相続”税”対策は、上記のような都市部の不動産を購入したり、借入がどっさりある間に資産管理法人の株式を譲渡したり、いろいろあります。
相続人が増えるほど相続税は低くなりますので、自分の孫を自分の養子として縁組するような荒技を使うようなお金持ちもいます。
それぞれの対策については、また別の記事でお話するかもしれませんが、今回の記事では「若くてまだ駆け出しの投資家さんでも、相続と相続税は無縁ではない」ということをご理解いただければ十分かと思います。