800万円で何を買うか(後編)
■不動産投資の羅針盤「プレミア投資部」はこちら
■大家さんのための無料Web情報誌「満室経営新聞PLUS」はこちら
昨日からの続きです。
800万円の自己資金を持っていた場合の、最初の物件購入についての考察。後半は融資を利用するスタンスで検証してみましょう。
◆800万円の自己資金を持っていた場合の選択肢
1. 800万円の土地値戸建て
2. 400万円の激安戸建を2戸
3. 7千万円の新築アパート(LTV95)
4. 4千万円の中古アパート(LTV90)LTV80以下になるとまともな投資にならなそう。それぞれ検証してみます。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) September 18, 2020
◆高いLTVと安定した経営
フルローンを出している銀行もなくはないのですが、普通の属性でもLTV95前後が出る銀行は、新築アパートに良い評価を出す傾向があります。
購入できる金額は逆算すると7千万円程度。5%分の350万円と諸費用450万円で所持金を全部使い果たしてしまいますあが、4つのスタンスではもっとも大きな物件を購入することができます。
利回りは千葉とか埼玉あたりで7.5%。一棟ものなので管理委託契約も必須ですから、管理料が家賃の5%かかります。
固定資産税も木造とはいえ建物が新しいので、戸建と比べれば大きな負担になるでしょう。
・入居競争力がある
・管理委託をしているので何もしなくて大丈夫
・キャッシュフローの裏で残債も減るので、純資産の増え方は一番大きい
・値上がりの可能性は低いが、残債以上の価格で安定して売れる
金利2%の30年返済で計算すると、年間家賃収入525万円に対して返済が295万円、さらに管理費5.5%と固定資産税40万円を差し引くと、年間の手残り想定は132万円ほどになりました。
キャッシュフローだけで考えれば、激安系戸建を2つ買った場合と大差はありません。
ただし、10年保有すると残債は4800万円くらいまで減っていますので、売却した際のキャッシュインまで考えれば、収益的には融資を使わないスタンスに圧勝できるでしょう。
良いアパート(&アパート業者)を選ばなければなりませんが、基本的にはお薦めできるスタンスです。
弱点になりそうなのは、元の利回りが低いので最低6年くらいは経過しないと売却時に利益を出すのが難しいということ、土地値系戸建と比べると共担がない分、2棟目への加速度が弱いことです。
◆中古アパートは売却のワンチャンスに賭ける
最後に中古アパートをLTV90融資で購入するスタンスを考えます。
自己資金1割というのも全然悪くない融資条件だと思うのですが(ぼくが区分を買うときは、もっと自己資金を入れてます)、購入できるボリュームはぐっと下がってしまいますね。
4千万円のアパートで3600万円の融資を受けて、諸費用を払うと持ち金はほぼなくなります。
この価格帯で新築は難しいので、東京郊外や横浜などで築20年以内のアパート探して買うことにします。
利回りはピンキリなんですが、14%になると上記の新築アパートよりも「家賃の実額」は多くなるので、この数字で検証してみましょう。
・この利回りであれば、価値を上げて高値売却を目指せる
・融資付けは新築に比べると各段に難しい
・運営も難しい。空室リスクは4つのスタンスの中でもっとも高い
・耐用年数超えの融資が不可欠であり、次の融資の足かせになる可能性も
表面利回りで計算した家賃収入は、年間560万円と価格が倍近くもする新築アパートよりも多くなりますが、空室は多めでしょうし修繕費負担も新築とは比べものにならないので、実収はかなり少なくなるでしょう。
固定資産税は低めですが、その差を上回る経費負担と空室ロスが出るのは明らかです。保有中のリスクは、他の3つのスタンスに比べて圧倒的に高いと思われます。
この投資スタンスの唯一の強みは「購入価格より高く売れる可能性が高い」というところでしょう。
本来であれば10%程度で売却できるスペックがありながら、空室が多くて安く出ているようなアパートを購入し再生させれば、保有期間中に元金返済も進みますので、売却時にはダブルで収益を得られます。
800万円の資金を、5~6年程度で数倍に増える可能性があるのはこのスタンスだけです。
◆総合的な順位は??
まとめると、投資の安定性で考えれば順位は以下のようになります。
1.新築 2.土地値系戸建 3.激安戸建 4.高利回りアパート
保有期間トータルでの収益最大化を狙う場合の順位はこうなります。
1.高利回りアパート 2.新築 3.激安戸建 4.土地値系戸建
特筆事項として、土地値系戸建は共同担保として使えるので2棟目を購入しやすいということと、激安戸建は属性の改善に貢献するというところでしょうか。
基本的には、不動産は融資を使ったレバレッジ効果が他の投資と比べて優れている訳で、なるべくは融資に有利な投資法を選ぶべきかと思います。