「東京ルール」が地方を滅ぼす(後編)

2020年8月2日

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原状回復について国土交通省が定めたガイドラインは、東京のような賃料単価の高いエリアでは「大家の行きすぎた請求」を防ぐために役立っていますが、賃料単価の低い地方にそのまま持ってくるのは危険だという話のつづきです。

ぼくが北陸で持っている物件を管理いただいている会社も、ガイドラインを基本的には守る方向にシフトしています。

 

◆東京ルールは「管理会社の手抜き」使われる

賃料3万円前後の部屋に住んでいる入居者さんと、その部屋を貸している大家さん。

どちらが経済的に優位かは一目瞭然で、原状回復の費用も本来は大家さんに請求するほうが管理会社さんにとっても楽ちんです。

権利意識の高い入居者さんと揉めるより、のんびりしている田舎の大家さんから費用を頂いちゃった方がスムーズに進む・・という意識は、必ずあるはずです。

 

自社の業務を効率化したい管理会社さんにとって「国交省が定めた」ルールは、まさに錦の御旗としてうってつけです。

「今後は国交省のガイドラインに基づき、オーナー様に請求をさせていただきます」

と言われて、反発できる大家さんは多くはないでしょう。なので、この流れは今後も加速していくと思われます。

 

◆他人のものほど・・

東京ルールは、国交省のガイドラインを遵守するだけでなく、これから入居しますよという人に対してしっかりと説明するという「説明義務」が含まれています。

その結果どうなるかというと「部屋を雑に使うようになる」ことにつながります。

料理が運ばれてきたときに「ご飯のお代わり自由です」と伝えると、お代わりの人が増えるのと同じです。

 

 

他人のものは自分のものより丁寧に扱う・・という美徳は、今の日本人にはほとんど残っていません。

場合によっては、毎月多額(と本人は思っている)のお金を巻き上げていく大家にひと泡吹かすために、あえて「通常損耗の範囲」で部屋を痛めつけるような入居者も出てくるでしょう。

 

◆6年で全替えするとどうなるか

実際のところ、クロスやクッションフロアなどは耐用年数(6年)がガイドラインの中で定められており、その年数が経過してしまえば「通常損耗でなくても」ほぼ100%貸主が補修費を負担するという規定があります。

国交省ガイドラインの資料。壁紙は6年で償却すると書かれています。

 

つまり、家賃6年分の中には「部屋のクロスやクッションフロアを全替えする費用」が含まれていると解釈することもできる訳です。

 

地方には、びっくりするくらい「単位面積あたりの賃料が低い」物件があります。

33㎡の賃貸物件だと、都区内なら割と普通の場所でも10万円以上するはずですが、富山県の高岡市にある築古マンションでは29000円。

 

間取りと、お部屋の写真はこんな感じでした。

内装はかなりキレイです。かなりお金を掛けてリフォームをしたようです。

 

それが、前述の「モラルの高くない入居者」が6年間の居住を経て退去をしたあと、出てくる修繕見積はこんな感じになります。

 

ぼくが普段お願いしている工務店さんの見積なので、単価は比較的安いと思いますが、それでもこの価格です。(コスト削減のためにクッションフロアにしています)

6年ごとにこれをしなければならないとなると、実に家賃の18%が「原状回復」に充てられてしまうことになります。

「(広すぎる)通常損耗の範囲内」で部屋を雑に使う入居者ですから、設備が壊れるのも早いでしょう。上記にはウォシュレットの交換費用が含まれていますが、ここに

・エアコン本体(6年間雑に使えば壊れる)
・浴室やキッチンの水栓
・ガスレンジ
・網戸(もたれかかったりして破損することは十分あり得る)
・棚や建具の破損

なんかも含まれてきますと、退去時の修繕費は上記の2倍近くにもなります。賃貸経営が成り立つレベルではありません。

 

◆まとめ(4つの問題点)

ということで、国交省のガイドラインは「入居者が比較的モラルをもって丁寧に部屋を使う」ことを前提としており、悪意をある使用をされた時に対抗しづらい決まりになっています。

それから「借主の負担はこういう場合のみ」ということを、東京ルールに則ってわざわざ契約時に説明することは、居住モラルの激しい低下を招きます。

 

さらに、丁寧に使えばもっと長持ちする壁紙やクッションフロアの耐用年数が不当に短く設定されていることで、結果的に貸主の負担を不必要に増やしています。

極めつけは、上記のような安いお部屋と高級賃貸マンションの原状回復を同じ基準で運用しようとしており、よく言われるような「偉い人が考えたのね」っていう賃貸業の実態に合ってない運営になっていると考えます。

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