「替えの効かない」不動産投資はキケン
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満室経営新聞を発行していた当時から、読者さんアンケートで「失敗の話を知りたい」というリクエストはたくさんありました。
しかし、このブログでも失敗についてはタグも作っていくつか記事を書いていますが、人気のある「失敗の記事」は非常に限られています。
また、以前はHOME’Sのコラムで失敗についての連載をしていましたが、これも他の記事に比べて特段の人気があった訳ではありません。
◆失敗の話は、失敗する人に届きにくい
なぜかというのは良く分かっています。
要するに同じ「失敗の話」でも、多くの不動産投資家さんは「あなたが失敗するかもしれない話」よりも「実際に他人が失敗した話」を求めているのです。
なんか、こう「溜飲を下げる」的な意図が透けて見えるのは、ちょっと嫌な感じですね。
だから、少し前の話でいうと「かぼちゃの馬車」で失敗した人の話は非常に人気があったようですが、その時期には既にスマートライフは廃業しており、新しくかぼちゃの馬車を買って失敗する人が出ることはありません。
逆に「いま、こんな手法が流行ってますけど、これは本当に危ないですよ」という警告をいろんな人がしていても、その警告を知って失敗を逃れる人よりも、声が届かず案の定・・という人のほうが遙かに多いのが現実です。
サブリース付きシェアハウスも、多法人スキームも、当時から警告をしている人はいました。最近でもTwitterを見ていれば、いくつかの手法やノウハウについて「これはヤバい」と複数の人が発信しています。
◆一社依存の危険性
特定のサービスやノウハウについてブログで大々的にけなしてしまうと、当該企業から内容証明が届いてしまうような世の中なので、今日はひとつの普遍的な判断基準についてお伝えしようと思います。
下記のツイートをご覧下さい。
不動産投資では、残念ながら失敗して損失を出す人も一定数いるんですけど、リサーチやシミュレーション、経営手腕とかの話をする前にひとつお伝えしときたいのは
「ひとつの会社に依存しているスキームはやめておく」
ということです。
その投資、パートナーの代わりはいますか?
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) November 8, 2020
特定の人や会社に全面的に依存しており、そのパートナーに「替えが効かない」という状態が非常にリスクが高いと言えます。
分かりやすいので、よくある新築アパートの事例を見てみましょう。
・不動産会社Aが見つけてきた土地に、Aがプランを入れて販売する
・完成後はAがサブリースを引き受ける
・完成したアパートはかなり特殊であり、A以外は運営できない
このようなケースが、上記ツイートのような一社依存です。
◆「替えが効く」のが不動産業界の良いところ
本来、不動産投資や賃貸に関する業界はマーケットが非常に大きいため、パートナーとなり得る会社はたくさんあります。
不動産会社はもちろん、建築会社も工務店も、税理士さんや清掃会社など、それぞれ何百何千という選択肢が用意されていて、それが買い手である大家さんにとって非常に恵まれた環境である訳です。
もちろん、チームのメンバーとなった会社や人とは長期的に良いパートナーシップを築いていきたいところですが、同時に「いつでも替えが効く」というのは大きなリスクヘッジとなります。
そういう恵まれた環境を捨てて一社依存体制を自ら選ぶことが、あまり賢くない行動だということはご理解できるかと思います。
しかし、ぱっと見で「画期的だ!」「圧倒的に儲かる!」「他には真似できない!」というサービスやスキームに乗ることは、替えが効く状態を放棄することにつながる可能性が高いため、不動産投資のギャンブル的な要素が強まってしまいます。
自分の手腕や運営力ではなく、依存先に運命を委ねることになるということです。
◆フランチャイズ加盟との比較
このような事例は、不動産投資以外でも結構あります。
例えば何かしらのフランチャイズに加盟すること。
飲食のフランチャイズに加盟して新規出店した直後、自分とは関係ない系列のお店が甚大な不祥事を起こしたような場合、間違いなく自店の売上にも影響が出ます。
「このくらい利益が出ますよ」と言われて出店して大損しても、本部は責任を取ることはありません。(悪い不動産業者さんも、最後には「投資は自己責任」だと言って逃げるのとよく似てます)
フランチャイズの場合はまだ、長年の実績や既存加盟店の状況を見て参加の判断をすることができますが、不動産投資系の「新しい独自スキーム」ではそのどちらも確認しづらいのが実情です。
恵まれた環境を放棄して、上記のようなリスクを分かって、それでもその会社に依存して目新しいスキームに手を出すかどうか・・。
そして実は自分も・・・ちょっと似たようなことやらかしてるんですけど(笑)、今は守秘義務の関係で公開できません。片付いたらお伝えしますね。