サラリーマン投資家の利点
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収益物件を購入して賃貸業を営む人達のカテゴリーとしては、「地主・資産家」「企業の不動産部門」「ファンド」などいろいろありますが、ブログを読まれている方のほとんどが「サラリーマン投資家」または「賃貸事業者」のどちらかでしょう。
サラリーマン投資家とは、会社勤めをしながら勤務先の属性を使って不動産融資を受けているようなステージ。「事業者」はそれ以外の人達のことを指します。
※会社員であっても事業者として不動産を購入している人はいますし、そういう人をこのブログ内では「サラリーマン投資家」とは呼んでいません。
一般的には「サラリーマン投資家」を経て「事業者」へステップアップしていくようなイメージがありますが、そうとも限りません。
会社勤めはしているものの、雇用体系や勤続年数の関係でサラリーマン向けの融資が受けられないような人は、最初から小規模の事業者としてスタートすることになります。
◆意外とすごい会社員属性
過去の記事でもお伝えしているように、今の市況や融資情勢では「事業者として融資を受けられないと、リタイアレベルの規模まで拡大するのは難しい」というのが現実で、その規模を目指すのであれば事業者になっていく必要があります。
ただ、サラリーマン投資家と事業者の違いは、「どの側面を切り取っても事業者の方が上位で有利」という訳ではありません。下記のツイートをご覧下さい。
◆サラリーマン投資家が事業者より有利なところ
・その辺の新設零細法人よりも遙かに信用がある。
・安定した給与収入は事業者でいう「永続的な利益」とみなされる。
・その結果、資産背景がイマイチでもそれなりの金額まで融資が受けられる簡単に言うとスタートダッシュがしやすい。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) August 30, 2022
日本には古くから「住宅ローン」という素晴らしい融資商品がありますが、これは購入する家の価値(=担保評価)をほとんど加味せず、買う人(=お金を借りる人)の給与等の収入と年齢(=収入が得られる期間)のみを基準に融資をします。
一定水準以上の年収&40代以下の年齢であれば、低金利も相まって年収の10倍近くのお金を「個人の属性だけ」で借りることができます。
※楽天銀行のホームページ(シミュレーション画面)より
年収800万円で、7584万円を借りることができるらしいです。
これはすごい。
◆年収800万円は、どのくらいの事業者か
7500万円くらいのお金を、事業者として借りる場合を考えてみましょう。融資の土俵に乗る自己資本比率を20%とした場合、純資産額をXに置き換えると
「X ÷(X+7500万)≧ 20%」という数式を満たす必要があります。Xはだいたい、1880万円くらいですね。年収800万円の40歳くらいの人が、この金額を貯蓄しているというのは珍しいかと思います。
次に債務償還年数20年以内で考えると、7500万円の融資を受けるためには、375万円の税引後利益が必要なので、税前500万円・利益率10%とすると年商で5千万円くらい売り上げる会社を経営しているようなものです。
会社員として800万円稼ぐというのは、「年商5千万円・借入なしで純資産1880万円の会社を経営している」のと同じようなものだと考えることができます。
賃貸業以外でこの規模のビジネスを立ち上げるのは、そう簡単ではなさそうですよね。
◆知らないうちに築いた大きな信用
もちろん、800万円の年収を取れるようになるためには、そこそこ給料が良い会社に入ったとしても10年近くの勤続年数が必要です。
ただ、知らず知らずのうちにそういう積み上げを経ている人であれば、零細事業者として融資を受けようとするよりも、それまでの積み上げを使って「サクッと」初期の1~2棟を購入した方が圧倒的に楽ちんです。
会社員属性で借りられる以上の規模を目指す場合であっても、サラリーマン投資家として規模を増やせる人であれば、その「資源」を活用すべきであろうというのが、ぼくの考えです。
ぼくも、最初の3億円くらいまでは会社員属性のみで買ってきました。
自分の場合は、そこから「事業者にステップアップする」というプロセスで大失敗をしているのですが(下記の記事参照)、上手にやればサラリーマン投資家からキレイに事業者にステップアップできますので、規模拡大が長期間停滞するようなことは防げるはずです。
※参考記事(HOME’S)自分で経験した「事業化遅れ」の失敗
知らないうちに築いた大きな信用、しっかり活用しましょう。