大谷選手の「資本主義のバグ」について考える
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久しぶりの更新ですが、今日は先日まで超絶な盛り上がりを見せたWBC関連で少しお話したいと思います。
大谷選手を中心に、チームが一丸となって優勝した経緯はご存じですが、どんなことであっても不快に思っていちゃもんを付けてくる人はいますし、斜に構えて批判的な発言をする人もいます。
◆資本主義のバグ??
今回のWBCでいうと、大谷選手はMVPを獲得する縦横無尽の活躍を見せただけでなく、チームを引っ張っていく人間性も申し分なく、批判される要素がありません。
しかし、いました。
大谷翔平氏の報酬が年間40億ってのも、資本主義のバグだよな。
日本の平均的サラリーマンは人生で2億しか稼げない。人生で、だ。
大谷氏が、言っちゃ何だが球投げ遊びを一年するだけなのと、サラリーマン20人の人生の価値は等しいのか?
そんなに、普通のサラリーマンの命は軽いのか?狂ってる。
— ザ・ペーパー (@paper7802) March 20, 2023
「40億円はもらいすぎで、新本主義のバグだ」と。
この「資本主義のバグ」について、不動産投資も含めて考えてみましょう。
◆儲けるには大きな市場が必要
まずはこちらのツイートをご覧下さい。
大谷選手が超高額な年俸をもらえるのは、MLBの市場規模が大きいから。全体の売上はなんと1兆3千億円もあるそうです。大谷選手の年俸40億円は、その0.3%に過ぎない。
一方、日本の「お家賃」の市場規模は、なんと20兆円以上で夢がある。シェア0.01%でも20億円。— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) March 24, 2023
莫大なお金を得るためは、その分野の市場が十分に大きいことが必要です。
メジャーリーグ(MLB)は、万単位の観客を動員する試合が年間1千試合以上組まれており、入場料、グッズ、球場での飲食、テレビ放映権などとんでもないお金が動いています。
その額、なんと年間1兆3千億円!!三菱地所の売上高と同じくらいあります。
MLBの登録選手はで実質トップ(MVPですし)といえる活躍をしているのですから、総売上の0.3%程度である40億円の年俸を得ても不思議ではありません。
売上が40億円に満たない企業は山のようにありますし、市場規模自体がそれを下回っている業種もありますが、そういうところでは絶対に40億円を稼ぐことはできません。
大谷選手の年俸はバグではなく、デカい市場で最強のパフォーマンスを挙げているだけです。
◆一流アスリートが持つ「儲かる要素」
大谷選手に限らずメジャーなスポーツというのは、儲かるビジネスの要素を備えていることが多いです。
野球でいうとリリーフや代打を入れても30人足らずの選手(支配下登録は40人だそうです)で、年間160試合以上に集客できるのはかなり効率がいいですよね。少ない人員で商品やサービスを量産できることも、儲かるビジネスの要素になります。
例えば、相撲という競技は1試合あたりの時間が短かすぎて「力士ひとりで稼げるお金」としては野球に比べて小さくなるので、「大相撲の力士全体」として年間90日+巡業というイベントを作っていかなくてはなりません。
40億円稼ぐ横綱が誕生するかというと、それは難しいでしょう。
逆に、プロボクシングは選手ひとりで年間何十試合もできませんが、プレイヤー2名でイベントが成り立ってしまうので、「売上からの取り分」は野球より増えます。
伝統に裏打ちされた圧倒的な人気があり、そのためTV放映で球場の外でも課金をすることができ、ドラマ性があるので毎日観ていても飽きることがなく、故に莫大な売上を作ることができる。
そういう業界でのトップであれば、そりゃあ「会社員の一生20人分」を1年で稼ぐことも可能でしょう。バグというよりは「経済の仕組み」だと思います。
◆大家さんも「儲かる要素」が満載
大家さんも、この仕組みを割と上手に活用して利益をあげている人達です。
上記ツイートの通り、日本全体で支払われている家賃は20兆円を超えているので、その中で1億円の売上(家賃収入)がある大家さんは、市場のわずか0.001%以下の占有率ということになります。
日本にある収益物件(賃貸物件)の20万分の1を購入すれば1億円の売上というのは、何だかすごくハードルが低いように思えます。
上記であげた「量産できる」というのも当てはまっていて、いわゆる「サブスク」というのは毎月・毎週で売上を作っているのと同じです。
野球ファンに強制的に球場に足を運ばせている(または球場に行かなくても課金される)ようなものなので、ビジネスとしては非常に優れていますね。
野球選手のような「専門性・非代替性」はありませんが、その分仕組みそのものを他人に任せて、事業をコピーするようなことはアスリートにはできません。
高い専門性が不要で自分の代わりはいくらでもいるにも関わらず、自分がずっと従事していないと成り立たないようなビジネスでは、大きく稼ぐことはできないでしょう。
◆まとめ
【一流アスリートと大家さん共通の儲かる要素】
・大きな市場があり、売上の機会を量産できる
・事業にレバレッジを掛けられる(TV放映、借入)
【一流アスリートのみに当てはまる儲かる要素】
・高い専門性や技術を持つ「選ばれた人」しか携われない
【大家さんのみに当てはまる儲かる要素】
・属人性が低く、他人に任せて事業をコピーしていける