滞納保証会社の問題点
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地味に過ぎ去ったゴールデンウィークも今日でおしまいです。
昨日は天気が良かったので山下公園のあたりまで散歩に出たのですが、例のパンケーキ屋さんは行列ができるほどの大盛況でしたよ。
良かった良かった。これでお家賃モラトリアム法など不要です。。(笑)
さて、昨日このようなツイートを投稿しました。
滞納保証制度の問題点
・保証会社の倒産廃業についての法整備がない
・リスクに応じた保証料率になっていない
・保証会社の権限が不明瞭
・その結果としての強引な請求や威迫
・将来に備えた積立ができない(利益は全額課税)これから保証会社の倒産や廃業が続けば、制度改定されていくと思います。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) 2020年5月5日
今日はこちらの解説をしていきますが、保証会社については謎や疑問が深まるばかりです。
自分で調べた情報をもとにした考察でしかありませんので、見落とし・間違いがあるかもしれませんが、随時アップデートしていきたいと思います。
1.保証会社の倒産・廃業についての法整備がない
これについては以前のブログでも説明していますが、保証会社という法人がなくなってしまった場合の契約者保護の仕組みがありません。
今のように「今後の支払が確実に増える」と分かっているような場合、経営側に上手く逃げられてしまう可能性もあります。
また、倒産廃業だけに限らず、滞納保証という制度についての法律というのは特になく、民法などの規定を上手に解釈して運営されているのが保証会社の実態です。監督官庁も免許制度もありません。
社会のインフラを担う業種としては、かなりお粗末だと言えるでしょう。
2.リスクに応じた保証料率になっていない
生命保険では健康状態や年齢などで、同じ保険金額の契約であっても契約者ごとに保険料が異なります。自動車保険も、車種や事故歴などで保険料の差があります。
滞納保証はほとんどの会社で、家賃月額を基準に一律の保証料が決められていますが、これは明らかに不公平ですし、優良な入居者の反発を招いています。
・勤務先の規模、安定度
・雇用形態、勤続年数
・年収と、年収に占める家賃の割合
・貯蓄額などの資産
・そしてもちろん、過去の滞納履歴
これらをもとに、何段階かの保証料水準があった方が良いと思います。
事務手続きが煩雑になる恐れもありますが、アプリに入力すれば自動計算されるような仕組みは簡単に作れるはずです。
「保証会社の権限が不明瞭」「その結果としての強引な請求や威迫」については長くなるので、別の記事で説明したいと思います。保証会社全てが抱えている問題です。
3.将来に備えた積立ができない(利益は全額課税)
滞納保証会社の会計については、他の業種と特に違ったところはありません。保証料を受け取って、滞納分の支払い(代位弁済)と会社を運営する経費を引いたものが利益になり、課税対象となります。
これは、「毎年、同じくらいの割合で代位弁済が発生する」という前提が維持されている限りは問題になりません。
ただ、「コロナ不況により、2020年は2019年に比べて10倍の支払いが発生した」というようなことが起こると、おそらく全ての保証会社が赤字に転落。いくつかの会社は破綻することになるはずです。
一方、保険会社は上記のような支払いのバラツキに備えるため、利益の一部を損金扱いにして将来のために積み立てることが認められています。
これを責任準備金といいますが、保証会社も何らかの方法でリスクをヘッジしておかないと、国内全体が危機的な状況になった際に耐えられないのではないかと思います。
ちなみに、保証会社の多くは代位弁済によって大家さんに家賃を立て替え払いした後、かなりの確率で入居者から家賃を回収していると思われます。
大手保証会社である日本セーフティの決算を見てみると
※画像クリックで同社ホームページでPDFが読めます。
同社の売上高、約168億円に対しての「貸倒引当金」が約28億円経常されています。おそらくこの数値が、回収を断念した滞納家賃に近い金額だと思われます。
保険会社でいうロスレシオ(損害率)は、16.7%と極めて低い水準です。
ただし、後で回収するにしても、滞納が発生したら一旦は家賃を立替払いすることになりますので、同時期に大量の滞納が発生すると、資金繰りが厳しくなる可能性は高まるのではないかと思います。
公表されている決算資料は非常に大雑把で、販管費の明細なども分からないのですが、大家さんの経営に直結することなので引き続き調べてみようと思います。