司法書士さんの信用と責任
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区分の購入決済がありました。
今回は任意売却に加えてリースバック(売主さんが賃借人として引き続き居住する)ということで、めちゃくちゃ時間が掛かりました。
・売主さんに着金後、そのお金を各債権者に送金(窓口で)
・全員が着金確認するまで決済が終わらない。
・賃貸借契約もしなければならない
9:50くらいから始まって、終わったの13時くらいだそうです。
ぼくは会社の捺印と送金が終わったら退席しましたが、社員さんは残っていたようで大変だったと思います。
登場人物もたくさんでした・・・笑
売主さん&仲介会社さんが銀行に行っている間、かなり時間があったので新しいスタッフさんに決済の流れについてレクチャーをしました。
司法書士の先生も、指導に協力していただいて感謝です。
◆売主買主は、何を委任しているか
レクチャーと雑談の中で「司法書士の先生は(やろうと思えば)どんな悪さができるか」という話になったのですが、これは実はかなり色んなことができます。
まず、決済会場で最初に行うのが「各種の委任状へ捺印」です。
売主から・・不動産の名義を変更してもいいですよ、という委任
買主から・・購入する不動産に抵当権を設定してもいいですよ、という委任
それぞれの委任状が揃って本人確認などが完了すると、司法書士さんは「実行してもいいですよ」といいます。
実行というのは残代金の振込のことですが、融資を使う場合は融資金を口座に移して、すぐさま売主のところに送金するなどの一連の作業です。
そして、売主さんにローンが残っている場合は残代金でそれを返済して、金融機関から「抵当権の抹消」についての書類を受け取ります。ここも通常は司法書士さんが代理で行います。
◆いくらでも悪いことができる
ここで面白いのは、委任と実行のタイミングです。
売主は・・残代金を受け取っていない状態で、売る委任状を渡す
買主は・・売主の抵当権が残っている状態で残代金を支払う
どちらも、リスクがある状態ですが「司法書士さんを信用して」委任状に捺印して渡してお金を動かしている訳ですね。
ここでもし、司法書士さんと売り買いどちらかが結託して悪さをしたらどうなるでしょうか。
購入物件に抵当権の設定がされていない場合、買主が代金を払わずともこっそりと(各種書類は上手くやって)不動産の所有権を移転させてしまうことができます。
それとは逆に残代金を受け取っても所有権の移転登記をしないまま放置して、その間に売主が別の人に不動産を売ってしまうこともできます。
お金を払った人は「こちらが振込した方が早い!契約書もある!」と主張しますが、日本の法律では登記がされている方が勝つことになっています。
不動産売買は、お金の受け渡しと物の移転を証明する「登記」との間にタイムラグがあるので、本来はさまざまなリスクを内包しています。
ボロ戸建系の投資家さんなどの中には登記を自分でやる方もいるようですが、「相手が自分をハメようと思えば、いくらでも悪さができる」ことを考えると、手数料を惜しんで自分でやるのはリスクがあるよなぁと思っちゃいますね。
◆おまけ(融資の否決)
話は戻って、今回の区分決済。実は打診していた銀行では融資が通らず、やむなく自己資金決済しました。
任意売却&リースバックということで、「破産したような人に、この賃料が払っていけるの?」というのが否決の理由とのこと。一応、滞納保証会社の審査は通っていまして、こちらも保証会社が購入の条件としていたのですが・・。
このマンションはぼくが買うまでは競売の入札受付中でしたし、おそらく競売で落札するよりも安い金額で買えたと思いますが、競売で購入した人(会社)は占有者である売主さんに退去してもらって、リフォーム後に再販することでしょう。
売主さんの「住み続けたい」という意欲は非常に強く、その中で自社がリースバックを受け入れたことが買えた理由でもあるので仕方ありません。ロン特もなしですし。
買いたい物件の融資が通らなかったのは7年ぶりくらいですが、とりあえず公庫に打診してバックファイナンスを受けられたらいいなと思っています。