川上情報の正体
■不動産投資の羅針盤「プレミア投資部」はこちら
■大家さんのための無料Web情報誌「満室経営新聞PLUS」はこちら
先日、情報源についての記事を書きました。
「特殊なルートを持っていて、安定して良い物権情報を得ている人などいない」という結論でしたが、そのあとで「ポータルサイトに載る前の情報を得る」ことについても記事を書いています。
関連記事:【特殊な情報源はあるのか?】自分の取得ルートを紹介
ポータルサイトに載る前の情報は、不動産会社から「良い見込み客」として認知されている必要があるという話。裏技がある訳ではありません。
しかし、一般に知れ渡る前のシークレットな情報というのは当然存在するでしょうし、それをぼくたちは「川上情報」と呼んだりします。
川上情報。良い響きです。
自分以外の誰もが知っている情報なんかじゃなく、もっと初期の段階で、川の上流で情報を取得したい!
誰も箸をつけていない上流でそうめんを食べたい!
しかし、この流し素麺という文化はコロナ後は絶滅しちゃうんでしょうね。
不動産投資家であれば、このような感情を抱くのは当然のことです。そこで今日はこの「川上情報」についての自分の見解をお話ししたいと思います。
◆業者さんも物件を買える
不動産投資の初心者さんが、とてつもなくスペックと利回りの高い購入条件を不動産会社の人に伝えたりする場面で、
「そんな物件あったら自分で買うわ!」
と言われることがあります。
「顔を洗って出直してこい」とほとんど同義ですが、実際のところ物件情報を紹介してくれる不動産会社は、お客に紹介する前に自社で買ってしまうことができる訳です。
むしろ宅建業の登録をしていることで、合法的に転売ができるというアドバンテージがありますから、本当に良い物件がいわゆる「エンド」の顧客に流れてくる可能性は極めて低いものになります。
つまり、川上情報というのは具体的にいうと「本来であれば不動産業者が購入するレベルの情報」とも言えます。
そして、不動産業者でない普通の投資家さんが川上情報をゲットして物件を買うことは絶対にできないかというと、そんなことはありません。
◆業者さんが自分で買わないケース
では、「自社購入に値するレベルの物件」について売却の意向を受けた不動産会社が自社で購入せず、川上情報が一般の投資家に回ってくるのはどんなケースが想定できるでしょうか。
以下のようなものが考えられます。
・資金&資力的に買えない。
・逆にロットが小さすぎて、取り組むのが面倒
・収益化するまでに時間や手間が掛かる
・普通に売り出すには不確定な要素が多い
・売主の売却意思がはっきりしていない
儲かりそうな売り情報を不動産会社が入手したとしても、
「ウチでは総額的に買えないな」
「リフォームして入居付けして、(高く)売れるようになるまでには時間が掛かるな」
という判断に至れば、その会社が日頃から親しくしている投資家さんのところに話を回す可能性は十分にあります。
そのためには、業者さん以上の与信を獲得して買える物件のキャパシティを増やしておいたり、賃貸経営のスキルを上げて物件を再生させられたりといったことが求められます。
以前に、こんなツイートをしています。
自宅前に野生のイノシシがケガをして死んでいても、それを猪鍋屋に売るルートを持っていたり、自分で捌いて食べられる人は少ないです。
不動産の掘り出し物もイノシシのようなもので、相応の実力のある人にとってのみ価値があります。そんな話を昨日したんですが、うーん・・理解されたかどうか。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) 2019年11月6日
キレイに整った川上情報は不動産会社が買って、利益をのせて売っておしまいです。上記の例えでいうと、自宅前にイノシシ鍋が置かれているようなことは起こりません。
だから、ぼくたち普通の投資家が狙うべきなのは資金力で勝負できない限りは、手を加えないと利益が出せない「整っていない物件」ということになります。
稀に一般投資家のところにも回ってくる、不動産会社が手を出しづらいお買い得物件。これが川上情報の正体ではないでしょうか。
ボロボロで空きだらけでも立派に再生させられる。クレイジーな占有者がいても解決できる。隣地と粘り強く権利関係を調整できる。
こういった知識やスキルこそが、言ってみれば原材料や半製品のような「川上情報」を立派な商品に仕上げ、利益を手にするための必要条件なのです。