不動産投資を突き進めるために最も必要なものは「モチベーション」です。

多くの人は「キャッシュフローが月に100万円とかあったら嬉しいなぁ」と思っていますが、実際に100万円もの不労所得を手にしたらどういう生活や人生になるかをリアルに想像できず、やる気に直結しません。

また、不動産投資をしたいと思うような人は、既にそれなりの生活を送っているので、危機意識で頑張るということもありません。

そして、ご存じのとおり不動産投資は多額の借入リスクを伴うので、それを打ち破ってまで頑張ろうとする材料は、意外と少ないのが現実なのです。

◆俗世的な欲か、イメージしやすい願望

モチベーションMAXで突き進めたような人は、

・どうしても会社がイヤ。1秒でも早く辞めたい！
・ライバルに勝ちたい！見返してやりたい
・旦那のパワハラ生活から抜け出したい
・フェラーリ乗りたい！
・金持ちになってモテたい！（※お金が入るだけではモテません）

というような、分かりやすい俗世的な欲があることが多いです。

現状に満足でき、幸せを感じられるような人の方が、逆にモチベーションが湧かずに不動産投資を進めらなかったりするんですよね。

こういう人の方が、人間的には魅力的だと思うのですが。

ぼくの場合は、ちょっと人と変わってました。ツイート読んでみましょう。

ぼくが不動産投資を始めた頃の、とりあえず目指したい姿というのは

「勤務先の人事評価を気にしなくてもよくなる」

というものでした。
評価で差がつく給与などを軽く凌駕した家賃収入を得て、楽しく仕事ができたらいいなと考えたのです。

— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) June 14, 2020

人事評価。これは自分にとって、会社員時代の不動産投資活動における大きなモチベーションになりました。

単なる願望ではなく、「そういう状態になったときの仕事ぶり」や、「人事評価を気にしないでいられる自分の感情」などが、当時からリアルにイメージできたからです。

◆人事評価の思い出

ぼくがいた住友海上火災という会社は、入社6年目のとき（不動産投資を始める直前）に、三井海上火災と合併して今の社名になりました。

ちょうどその年にぼくは名古屋から富山の支店に異動しましたので、割と張り切って仕事をし、良い成績を出すことができました。

当時の人事評価は、U（全体の10%未満）、S（上位30％まで）、G（中間層、全体の4割）、AとB（下位3割の層）という区分になっていて、ぼくは富山支店の初年度はS評価を取りました。（ちなみに前年もS評価でした）

しかし、その評価が後日になって中間層のG評価に下げられてしまったのです。

その理由は「旧住友海上と、旧三井海上の社員で、評価のバランスが悪いから」というものです。これはびっくり。

たまたま、ぼくの直属上司（課長職）と支店長（部長職）の両方が、旧住友海上からのスライドだったこともあり、人事部から偏りがあるんじゃないかという指摘を受けたということでした。

◆人事評価が楽しいイベントに変わる

ぼくはまだ若手社員だったので、評価によって昇進に差がつく訳ではありませんし、給与だって年間20万円も変わりません。

しかし、この理不尽さは当時の自分にとって大変ショックな出来事であり、仕事のモチベーションが下がりかねないものです。不動産投資で成果を出せば、このようなイヤな気持ちにならなくて済むというのは非常に魅力的でした。

100万円の不労所得がある生活（未経験）をリアルに想像することは難しいですが、人事評価を気にしないでいられる満足感は、上記のようなできごとを経験しているのでイメージがしやすかったのです。

そして数年に渡って家賃収入を積み重ねていきました。人事評価で変動する生涯賃金の差など、持ってるアパート1棟程度なんだなぁと分かった頃に、自分の当初の目標は達成されたと感じました。

そういう状態だと実感したのは、富山を経て東京の本店勤務になった頃ですが（仕事はちゃんとやってたので優秀な部署に異動したのです！）、もはや人事評価など上司とサシでじっくりお話ができるという楽しい機会でしかなくなりました。

※本店の上司はさすがに仕事ができて尊敬できる人ばかりで、勉強になることも多かったです。

労働が強制ではなく、自分が成長したり社会と関わるための手段に変わったとき、会社は筋トレをするジムのような存在になり、人事評価はボウリングのスコアのようなゲーム的な指標に変わったという訳です。

不動産投資を始めてから、2年半くらいのできごとでした。

不動産投資のモチベーションを維持するのは結構大変で、だからこそ途中で脱落してしまう人がこれほどまでに多いのです。

お金そのものではなく、それによって実現される「他人にとってはほんの些細なこと」こそが、何年にもわたって行動し続けるためのエネルギーになるんだと思います。