与信の勘違い(区分でも融資を受け続けられる理由)
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ぼくはメールマガジンを創刊した当初から、購読してくれている読者さんとの飲み会を定期的に開催しています。先日、今年初めての飲み会をやりました。
コロナの影響でかなり間が空きましたが、多い時は毎月やっていましたし、今後も2〜3ヶ月に1度くらいのペースで実施していくつもりです。
通常、飲み会の前には任意参加でグループコンサルをやっています。参加者さんからの質問に答えながらのミニセミナーにような感じです。
昨日はメルマガ読者さんとの飲み会をやりました。その前にぼくの事務所でグループコンサル(ミニセミナー)も開催。
強い逆光により、参加者さんのプライバシーが配慮されているので、写真を載せても大丈夫そうです(ちょっと心霊写真っぽい) pic.twitter.com/Fp3T970gMB— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) June 20, 2020
通常、グループコンサルは会議室を借りて行うことが多いのですが、前回の読者さん飲み会が近所だったので、事務所で行いました。
◆与信と積算の勘違い
さて、今回のグループコンサルやその後の飲み会では「与信の毀損」について、多くの質問をいただきました。与信というテーマ全体について説明すると1つの記事では足りませんので、今日はポイントを絞って説明します。
一番多く出た質問は「区分マンションで融資を受けて、与信を毀損しませんか?」というものです。
ぼくは既に総額8億円近い区分マンションを融資付きで購入していますので、おそらく「毀損」という状態ではないはずですが、こういう質問をされる方はひとつの大きな勘違いをしています。
それは「積算=与信」だと思い込んでいるということです。
投資家さん1人に対して、与信を数値化したみたいなものが例えば100ポイントあって、積算超過の物件を購入していればその100ポイントは減らず(増えることもある)、積算の出ない区分を買ったりすると100→50ポイントに減少してしまう。
それを繰り返して0ポイントになると、もう融資は受けられない・・そんなふうに思っているのかもしれませんね。もちろん、そうではありません。
◆与信の本当の決まり方
不動産投資家への与信というのは、決算書の各種数値とこれまでの実績などを勘案した総合評価で決まります。
各種数値とは、売上高のほか営業利益・経常利益、純資産の額と自己資本比率、債務償還年数などです。法人を持っている人であれば分かると思いますが、決算書(BS・PL)のどこにも、保有物件の積算評価を載せるところはありません。
もちろん、BSの資産欄(土地建物)に載っている数字が妥当なものであるかを確かめるために、銀行は定期的に保有不動産の再査定を行い、与信評価を調整しています。
その際に「積算」は査定の指標のひとつにはなります。「融資審査にとって極めて大切な決算書のひとつである貸借対照表(BS)の資産欄に載っている、土地建物の再査定をする際に確認する」指標のひとつ、です。
こうやって書くと、そこまで重要なのか?って思いますよね。決算書にそのまま掲載されている利益の額や純資産の数値のほうが断然大切です。
◆区分=与信毀損というイメージがついた理由
ではなぜ「融資を受けて区分を買うと与信を毀損する」と言われるのでしょうか。
これは、サラリーマン投資家向けに融資をする金融機関の多くが、「個人の年収+物件の積算評価」をもとにした定型的な審査をしている(していた)からです。
決算や申告の実績が乏しい個人投資家への融資を判断する際、保有物件の積算評価は非常に分かりやすい指標になります。
「ふむふむ、給与700万円に・・・この物件は積算で5千万・・・なに?借入7千万。これはダメだ」みたいな感じです。確かに、決算(申告)実績がないと、ほかに判断のしようがないですよね。
また、区分マンション(主にワンルーム)を販売する会社が、給与収入による与信をあてこんだ割高な物件を売りつけていたことも、「区分=与信毀損」というイメージに一役買っていると思われます。
ということで、与信というものは積算評価と借入金額で決まる訳ではなく、決算書と事業実績をもとに判定されるものであり、そういった指標が優秀であれば区分マンションだろうが都心の物件であろうが、積算に関わらすちゃんと融資は受けられるという訳です。
しっかり利益を出して純資産を増やし、お金を借り続けましょう。