賃貸経営に一貫性を持たせよう
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今日は、自分の賃貸経営の方針に一貫性をもたせるという話をします。
一貫性という言葉は、辞書では「はじめから終わりまで矛盾がなく筋が通っていること」などと説明されていますが、賃貸経営に一貫性をもたせると、実にさまざまなメリットがあります。
◆強力な「一貫性のパワー」
多くの会社に「経営指針」が定められていたり、外資系の会社なんかだと「クレド」というより短く分かりやすい「信条・志」のようなものがあったりします。
業務や行動に一貫性を持たせようとすることで、その場その場で適切な判断ができるようになり、場当たり的な対応をしなくてすむようになり、そして対外的には「ここはこういう会社だ」というPRにもつながります。
不動産賃貸業でも、一貫性をもった方針を打ち出したいところです。
一貫性をもっている人はリスペクトの対象になるので、管理会社さんに自身の経営方針をちゃんと伝えることって大切だと思います。
入居率、家賃設定、審査、トラブル対処、お金をどこに掛けるか、お相手に求めること。場合によっては売却の予定時期まで伝えることもあります。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) July 19, 2020
一貫性のパワーはすさまじく、例えそれが相手にとって同意できなかったり不快なものであったとしても、一貫性をもった行動をしていること自体はリスペクトの対象になってしまうようなことはよくあります。
「自分は好きじゃないけど、すごいよね」という感覚ですね。
◆自分の賃貸経営における一貫性
ぼくも経営方針は10年以上前からきちんと決まっていて、それに沿った行動をすることはもちろん、管理会社さんなどのチームにも伝わるよう事あるごとに口に出したりメールに書いたりしています。
一部を具体的に説明してみますと・・・
・入居率にはこだわる。もっとも大切な指標。
通年で平均95%以上、かつ一瞬でも90%を割らないという基準を持っています。
入居率を一番優先する訳ですから「家賃を下げるくらいなら空室のままで良い」とか「この家賃で納得してくれる人に入ってもらえたら良い」というのはありません。
もちろん「家賃は下げない」という方針でも全然いいと思います。であれば多少の空室にはとやかく言わないことが一貫性につながります。
・管理会社さんの判断で入居を決める
微妙な入居者さんが現れることがあります。ネコを複数引き飼いたいとか、短期で退去することが決まっているとか、保証会社は通ったけど何となくあやしいとか。
そんなとき自分は「悪い入居者で管理会社さんが苦労するのは方針に合わないので、判断はお任せします」と伝えます。空室が続いて「入ってほしい・・」という気持ちがあっても一貫性は保たなければなりません。
逆に「どんな人でも家賃さえ払うなら入ってもらいます。それによるトラブルは自分で対処します」でも良いです。そうしたら、ヤバそうな入居者さんが増えますが空室は減っていくことになります。
・家賃と入居率アップにつながるところ以外にはお金をかけない
設備のバリューアップには割と気前よくお金を使います。「家賃の一部はマンションに還元して価値を保ち、家賃を下げずに運営したい」とも伝えています。
もちろん、率先して価値向上のためにお金を使う「行動」も大切だと思います。
逆に家賃や入居率と関係ないところでは、かなりシビアに判断します。ちょっとでも安いやり方をしつこく探したりします。少し前のブログで書いた水道メーターの交換なんかは、強い姿勢で価格の交渉をしました。
・法律や条令など、ルールは守る。
決まっていれば必ずやります。コンプライアンスはあらゆる業務を行う上で最優先(というか前提)であると考えているからです。
逆に、ここを徹底していると「決まってなければやらない」という選択を堂々とすることができます。
以前、各地で古いエレベーターの事故が続いた際、自治体から各管理会社さんに「こういうようなメンテナンス工事をしてください」という通達に近いお願いが来たことがありました。
しかしぼくは、それが法律・条例で決まっている訳ではないため、お断りしました。それでエレベータの事故が起こったとしても罰せられることはないですし、昇降機の保険も加入しています。
ここは言い方を変えれば「入居者の安全は最優先ではない」という、かなり危険な思想かもしれませんが、これも一貫性です。
一時的な世論に流され、提案を拒否したら何となく悪い人みたいな気がして、不用意な出費をしてしまった大家さんは多いのではないでしょうか。
◆他分野での一貫性
こういったポリシーは、もちろん不動産投資の他の分野でも大切だと考えています。
一例を挙げるとこんな感じ。
・銀行に対しては「借換はしない」「金利よりも融資比率」
・修繕では「相見積もりはしない」「でも吹っかけてきたら厳しく対処」
・滞納者に対しては「生きている限りは家賃の前に使ったお金があるはず」
・税理士さんには「自分の意向を汲んでもらうのが最優先」
・社員さんにも「自分の役割は果たす」「それができていれば自由にどうぞ」
これが正しいなんて思いませんが、正しいことよりも一貫性のほうが大切だと信じて「決めたポリシーは変えないし、それに外れた行動もしない」と決めています。
ちょっとややこしいですが「”一貫性”は”正しいこと”よりも大切」ということについて、一貫性を持たせているということです。