会社経営者の不動産投資(IT会社編)
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チャレンジ面談に来られる人の大半は、どこかの企業にお勤めの方ですが、士業や会社経営者、個人事業主などの方も時々いらっしゃいます。
先日は、法人を立ち上げて4期目くらいの経営者さんが、相談に来られました。
◆不動産との兼営は悪いことではない
IT系の経営者ということで、内容にもよりますが
・元手がさほど掛からず事業をスタートできる
・一般的に利益率は高い
・単独の発注が多いので、業績の浮き沈みが激しい
といった特徴があります。
不動産経営は業績の安定化につながりますし、家賃売上によって会社の固定費が捻出できるのであれば、もっと思い切った事業拡大にも踏み出せそうです。
そこでよくあるパターンとして、「どういう物件を買えば良いでしょうか」と相談いただくことが多いのですが、会社員の方にはそのままアドバイスをすることはあっても、経営者の方にはその前にいくつか課題があります。
◆経営者の有利な点、不利な点
会社員の方だと「年収と自己資金がこのくらい」「年齢と居住地」といった項目が分かれば、サラリーマン向きの金融機関をいくつかピックアップして、その中からご自身の目標や指向に合わせて「探す物件」の基準を作っていけばOKです。
しかし、経営者の場合はそんなに簡単ではありません。
会社の業種、業歴、決算書の各種指標、金融機関との取引状況などよって、どのように融資を受けられるかは全く変わってきます。
金融機関は日本に何百とありますが、そのほとんど全てが不動産購入のための資金を融資しています。経営者の方は「サラリーマン向けに緩く画一的な審査をしている銀行」が使えない代わりに、それ以外の金融機関から融資を受けるチャンスがあるという訳です。
◆銀行を訪問し、正しく伝える
こういう場合、既に取引のある金融機関(メインバンク)に声を掛けてみるのが王道ですが、相談者さんが日頃使っているのは「ネット銀行」でした。
こういった業種の会社にとって、銀行とは単なる「振込をしたりされたりする場所」でしかないのですが、不動産を買っていこうとするならアプローチを変えなければなりません。
取引がないなら仕方ない。近所の地銀などに電話でアポ取りをして、忙しくなさそうなタイミングで資料を持ち込んでみて下さい。
そのときに、不動産を買っていきたい合理的な理由をきちんと話せるようにしておかないと「調子に乗った会社の財テク」という扱いをされてしまいます。
本業に支障を来さず、リスクを十分理解して控えめに進めていくこと、不動産収入を得ることは本業にとってもメリットがあることを、しっかり伝えて下さい。
◆キレイな通帳を作って実績を示す
今回の方は、アプローチをする金融機関が全て「一見さん」なので、融資取引どころか口座を開設することさえ断られてしまうかもしれません。
しかし、その場合でも諦めてはいけません。どこかの金融機関で口座を開き、融資を受けられるなら融資を受けて、ダメならキャッシュで不動産を買います。
そこからの家賃収入はその銀行口座に入るようにしておき、そしてその口座のお金は経費や税金の支払い以外で手を付けない。そうすると、定期的に入金があって着々とお金が増えていく「キレイな通帳」が作られていきます。
そのキレイな通帳を持って、断られてしまった金融機関を再訪するのです。きっと実績が認められて道が開けていくことでしょう。
◆今すぐ”節税”をやめる
それから、借入を想定していない業種の人に多いのですが、利益が出ていなくても特に困ることがないので、過度な節税(=ほとんどムダ使いのレベル)をして、決算書の指標がかなり悪くなっている会社も多いです。
債務償還年数(利益何年分で債務を完済できるか)は、融資判断をする際の重要な指標になりますので、思い当たるような経営者さんは今からでも決算書を良くしていくためのアクションを取りましょう。
顧問の税理士さんがいると思うので、「自己資本比率と債務償還年数を良くしていきたい」と伝えて相談してみてください。
ということで、会社経営者さんが不動産投資をする場合の最初のアクションは、不動産会社の訪問ではなく銀行と税理士さんへの相談・・というのが正しいです。
はやる気持ちを抑えて、しっかり基盤を固めましょう。