金融機関についての心構え
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日本には金融機関がいくつあるかってご存じでしょうか。
どこまでを金融機関と呼ぶかによりますが、一応「預金保険機構」の対象になっている金融機関は、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合。
あとは不動産投資にはほとんど関係がありませんが、労金なども含みます。
◆意外と数が少ない金融機関
それぞれの金融機関がいくつあるかというと、預金保険機構のホームページによると令和元年のデータで以下のような数でした。
・都市銀行 5
・地方銀行 64
・第二地銀 38
・信託銀行 14
・信用金庫 254
・信用組合 145
これも不動産投資とは関係ありませんが、ジャパンネット銀行や楽天銀行などのネット銀行。ゆうちょ銀行も預金保険機構の対象です。
これを見て「金融機関の数は意外と少ない」と思いませんでしょうか。
都銀から第二地銀までの合計で107行しかありません。東京大阪圏に集中しているでしょうから、普通の県にある地方銀行は1つか2つ程度。
事業者として拡大していく際のメイン金融機関は地方銀行になることが多いので、「●●県ならここ」というように、ある程度決まっていくものと思われます。
少し前に「替えの効かない投資は危険」という記事を書きましたが、不動産会社や工務店さんなどに比べて、金融機関の数は圧倒的に少ないです。大切にしなければなりません。
関係が悪くないのに借換などで自ら取引を絶ったり、一度や二度審査に落ちたからといって「フン、こっちから願い下げだ!」とキレてはいけないのです。
◆断られたのは「既存の金利が高いから」ではない
それから、金融機関の取引順序にこだわる人が多いですが、あまり気にする必要はありません。
10年くらい前の不動産投資マニュアルには「最初は●●銀行(メガ)、続いて地方銀行」みたいな順序で借りることが推奨されていますが、いまは融資情勢も変わっているので再現性がありません。
また、金融機関の「格」のようなものを気にする人が多いので、先日こんなツイートを投稿してみました。
◆◯◯で借りると他行で借りらない?
これはメガバンクや大手の地銀のほうが、一般的に下位の金融機関より評価が厳しく、既存物件の評価と残債を比べて債務超過の判定になりやすいから。
決して「◯◯なんかと取引している会社は、ウチの敷居を跨がせまへん」とお高くとまっている訳ではありません。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) November 20, 2020
スルガ銀行がバンバン融資を出していた頃は、スルガを使うと他行で借りられなくなるという心配をしていた人が多くいました。
確かにそういう側面はあったのですが、それは別に「スルガの金利が4.5%だから」ではありません。上記のツイートの通り、スルガ銀行は他行に比べて物件の評価が緩かっただけです。
例えば、1億円で売られている不動産があったとします。
スルガ銀行ではこの物件の評価が1億円。評価額そのままの融資が出ると1億円のフルローンで購入できます。
一方、別の銀行Aでは物件の評価が9千万円でした。しかもこの銀行は評価額の9割までしか(LTV90)融資ができないので、借りられるのは8100万円となります。
投資家さんがスルガ銀行でフルローンを受けると、別の銀行Aにとって「8100万円しか貸せない物件で1億円の融資を受けている人」ということで債務超過状態と見なされます。
スルガ銀行で借りている人、金利の高い金融機関で借りている人を一律出禁にしている訳ではありません。優良顧客であればしっかり融資をした上で、高金利融資の借換提案までしてくれることでしょう。
◆使える金融機関を使う
とはいえ、評価が厳しい金融機関から使えばいいかというと、ほとんどの人は純資産や保有金融資産の関係で「格の高い」金融機関を使うことができません。
金利2%後半~3%台の金融機関でも、そこでしか融資が受けられないなら喜んで借りる。高い金利に負けない利回りが必要になるので、多少運営が難しそうな物件でも果敢にチャレンジする。
駆け出しのうちはそういう姿勢が必要で、土地からRCを建築しているような投資家さんの融資条件を最初から望むのは滑稽です。
天下の三菱UFJであっても個人の預金口座だけは簡単に作れてしまうので、銀行の格については普段意識をすることは少ないですが、「借りる側」から見てみるとメガバンクと小さな銀行には大きな差があるのです。