不動産投資 普遍の法則(なにを譲るか)
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ちょっと前にも記事内で出てきましたが、今日は不動産投資についての普遍の法則について説明させていただきたいと思います。
不動産投資において「ひとつの指標を強化した場合、他の何かの指標が必ず悪化する」という原理は、万有引力のように不変なものです。
それを受け容れれられないなら、不動産投資は向いていません。— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) November 30, 2020
何かを優先すると、他の何かが犠牲になる。(ちょっと誤字が残念ですが)
この法則は、不動産を買い進められている人は自然にコミットしていることなのですが、最初のうちは理解が難しいかもしれませんので、具体例を出してみます。
◆購入時の普遍の法則
まず、高利回りの不動産を探している投資家さんがいて、そこに条件以上の利回りが確保できる売り物件情報が紹介されたとします。
ところが、その投資家さんは
・立地がいまいち。駅からも遠い。
・築年数が古い・・昭和築はちょっと。
・入居は12戸中7戸ですか。微妙な感じですね。
・部屋も狭くて3点ユニットなので、入居付け厳しいかも。
・積算も全然足りてないみたいです。
というような理由をつけて、その物件を見送りました。
せめて、外観がキレイで空室がもう少し減っていれば・・といった感じです。
実はこのアパート、別の投資家さんが購入して外壁の塗装をして古さを払拭した上にあっという間に満室にした後、また売りに出されました。
見送った投資家さんは「え、満室なの?外壁もキレイになっていい感じ」と再び興味を持ち、以前と同じ価格だったら買いたいと思いました。
しかし、実際にはこのアパートは以前の1.5倍の価格で売り出されており、しかもすぐに売れてしまいました。
このお話からも分かるように、利回りが高い物件は「イマイチなところがたくさんあって、安くしか売れないから」高い利回りなのです。
イマイチなところが少なくなるほど、高く売れるようになり利回りが下がります。
しかし、スペックが良くてさらに利回りも高いという物件を探して、しかもずっと見つかっていない人は数多いです。法則を無視しているからです。
◆融資での普遍の法則
融資についても同じ法則があてはまります。
自己資金の乏しい投資家さんが、購入条件に「フルローン」を掲げていました。
運良く銀行評価の高い物件がみつかり、融資もつくようですが貸出金利は変動の3%とちょっと高めです。決めきれない投資家さん。
そんな折り、大家さん仲間が1%ちょうどで融資を受けたという情報を聞いたので、支店と担当者を聞き出して訪問したところ、確かに1%で融資が受けられそうです。
しかし、その条件で融資を受けられるのは物件購入価格の7割程度ということで、全然自己資金が足りません。しかも行員さんは暗に2千万円くらいの預金をするよう求めてきました。とてもムリです。
この場合「融資割合」を重視することで、金利などの諸条件が悪化したと言えます。金利を優先すると、融資割合が悪化します。
◆お買い得だけど買えない事例
また購入の話に戻りましょう。
とあるメガ大家さんが「このマンションはすごく良いんだけど、都合で見送ったんだよ」と、まだ販売中の物件資料を見せてくれました。
RCマンションで積算も出ており、外観もキレイでしかも満室。価格も十分リーズナブルでおそらくは買った直後に転売しても利益が出そうな感じでした。
投資家さんは「これ買う!」と意気込んで物件資料を奪い取り、仲介会社さんに連絡を取りました。まさにこれぞ「掘り出し物」だと思いました。
しかし、仲介会社さんがいうにはそのマンションの価格は「月内決済ができることが条件」なんだそうで、企業の決算対策で売り急いでいるとのことでした。
月内??銀行に資料を持ち込んでも審査に1ヶ月は掛かるし、とてもムリです。「なんとか来月末までになりませんか?」とお願いしてみたところ
「それだったら、ウチが買ってますよ」と一蹴されてしまいました。
これはお買い得な価格と引き換えに、調査や資金確保の難易度が上がっている事例です。
◆「なにを譲るか」も投資スタンス
という訳で不動産投資は「自分がなんとしても優先したいものは何なのか」を決める必要がありますし、それと同時に「どこを妥協、我慢できるのか」も決めておかなければなりません。
戸建か区分か一棟かというような「買いたい物件の種別」を決めることだけでなく、不動産投資の普遍の法則の中で、自分にとっての現実的な方向性を定めておくことが、このブログでもよく登場する「投資スタンス」です。
投資スタンスは、購入希望条件のことではありません。