フルローンの歴史(時代は変わった)
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LTVという指標があります。
Loan To Value の略称で、簡単にいうと「物件価格に対しての融資割合」です。LTVが100であれば、いわゆるフルローンということになります。
ぼくが不動産投資をスタートした直後は、フルローンという概念はほとんどなく、従って相当な自己資金がないと規模の大きな物件を買うこともできません。
メンターの泉正人さんが、1億5千万円の物件に買付を入れたという記事だけで、不動産仲間がざわつくような時代でした。
買ってないんですよ、買付を入れただけで、です。
◆最初のフルローン全盛期
2005年くらいから三井住友銀行がLTV100の融資をするようになったことで、この流れが変わりました。積算が出て、収支が回るような物件にフルローンが出るようになったことで、サラリーマンの不動産投資が加速したのです。
いわゆる「光速投資法」や、今でもある「通販大家さん」が、フルローンの出る物件はどういうものかというのを啓蒙していったことで、サラリーマンの方が購入する一棟もの物件は非常に偏ったものになりました。
・積算評価以下の価格で売られている、築20年くらいまでのRC物件
・フルローンでも返済比率が5割程度になるよう、やや高めの利回り
この2点が特徴です。
SMBCはメガバンクでエリアの制限が緩かったので、積算が出やすい地方の物件に人気が集まりました。特にこの頃は、利回りが高い札幌の一棟もの物件を購入する投資家さんが多かったように思います。
ぼくも、この頃にそういった物件を買い進め(自分の場合は北陸地方で購入していました)、2007年までに家賃年収5千万円を超えました。
◆SMBCに頼らず頑張った人たち
しかし、リーマンショックやその他の要因で、SMBCが融資をドラスティックに引き締め、投資用不動産の価格はかなり下落しました。
もちろん融資を出すのはSMBCだけではありませんので、この時期にある程度の資金を用意でき、地道に銀行開拓をおこなった人は割安な物件をたくさん保有し、後に高値で売却することで「メガ大家」へと進んでいくことになります。
リーマンショックの少し前から、スルガ銀行も投資用不動産への融資を積極的に行うようになりました。
しかし、スルガ銀行は「LTV90」が融資方針で1割の自己資金投入が必須だったことと、金利がSMBCに比べると高かったので、十分に高い利回りの物件に絞って使われていたように思います。
◆フルローン全盛期(第二次は虚飾)
2012年くらいになると、スルガ銀行でフルローンが出るようになります。
しかし、これはスルガ銀行がかつてのSMBCのように「LTV100」に方針変更した訳ではありません。不動産会社が契約書を実際の取引よりも高く物件を購入したことにするような「銀行提出用の売買契約書」を作成することで、フルローンを引き出していたのでした。
ただ、スルガ銀行は当時非常に厳しいノルマが課せられていたようで、こういった資料の改ざん行為はある程度「銀行員も見て見ぬふり」だったようです。
フルローン、場合によってはオーバーローンが出るとなれば話は別。高い金利だってものともせず不動産投資家さんが殺到するようになりました。
同じノウハウ(といって良いのか分かりませんが)は別にスルガ銀行にしか使えない訳ではなかったので、他行に対しても「提出用の契約書を作成」することは日常的な業務になっていきます。
慣れというものは怖いもので、最初は売買契約書だけで済ませていたものが、物件のレントロールや借主の預金通帳なども改ざんの対象になっていき、まさに何でもありの無法地帯といった時代が数年続きました。
◆フルローン時代の終わり
そして2018年の後半、かぼちゃの馬車の一件からそういった不正が明るみに出たことで、スルガ銀行が営業停止に追い込まれたほか、他行についても「会社員への収益不動産融資」から一斉に手を引いたような状況になりました。
いまは少しずつ融資姿勢も良くなってきてるようですが、やはりLTV100を掲げているような金融機関はほとんどありません。
フルローンを実現させている投資家さんは、既に相応の業歴や取引実績があり、自己資本比率などの資産背景が基準を満たしています。一棟目を買う会社員の方に同じことはできません。
こういった流れと現状の中、限られた資金を活用して少しでも保有不動産を増やしていこうとするなら、今の時代にあった考え方と取組が必要なのではないかと思います。
チャレンジ面談に来られる人にも、数年前とはまったく違った話をしています。
自己資金ゼロ、積算超過、RC、耐用年数・・・こういうのを重視したい気持ちも分かりますが、固定観念をいったん捨ててスタンスを考えるべきかと思います。