築浅信仰のリスク
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不動産投資の世界では「新築を買うと損をする」という説が、20年近くも前からしっかり定着しており、今でも新築について嫌悪感がある人は少なくありません。
確かに、新築ワンルームは「損をする投資」と典型例として確立していますし(※これさえ、最近の物件価格高騰でキャピタルが取れる事例があります)、そうでなくても「業者の利益が乗っている」という理由で避ける人は多いです。
◆新築嫌いの築浅好き
もちろん、業者さんが営利目的で建築している訳ですから、業者の利益が乗っているのは事実です。「他人を儲けさせるのがイヤだ。売買にWin-Winなし!」という考えであれば、もちろん新築を避ける選択もありでしょう。
※運営中は管理会社さんなどのチームメンバーに、適正な利益をもたらすことは重要です。
しかし、そういう考えでありながら「でもやっぱり築古は怖いので、なるべく新しい物件が良いです」と言われたこともあります。
チャレンジ面談に来られた方なので、ぼくも質問してみました。
「では、築浅ということで言うと具体的に築何年未満でしょうか?」
すると「新しいほど良い」とおっしゃります。最も新しい状態が「新築」ということですが、新築以外でなるべく新しいものとのこと。
◆業差じゃないのに短期で売るワケ
最近は、築10年を超えても堂々と「築浅」と紹介されるような売り物件もありますが、ここでは建築されて間もないアパートを前提としましょう。
こちらのツイートをご覧下さい。
「新築は業者の利益が乗っているので避けて、築浅のアパートを狙いたいです」という人は結構いますが、築2-3年のアパートがなぜ売られるかを考えてみましょう。
・企画に失敗した
・建築がやばくて保有できない
・建てた人(売主)の利確のどれか。買主が儲かる築浅ってイメージしにくいですよね。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) May 4, 2022
物件を売ったことがないと、「利益を得るのは業者だけではない」ということがイメージしづらいかもしれません。
収益不動産の場合は築年数に関わらず、保有トータルで見ればほとんどの売主さんが売却によって利益を得ているでしょう。買値より売値が低くなっても、値下がり額以上に家賃で稼いでいれば問題ありません。
ただ、家賃での回収がほとんど進んでいない築浅物件の場合、それでも物件を売るというのはどういうケースがあるのか・・と考えると、上記のツイートのような想像に至るのは難しくありません。
新築以上に「買ったらマズい」と判断できる訳です。
◆売り手が儲かるかどうかは関係ない
ぼくもたくさんの中古物件を購入していますが、基本的には「こんなに安く買えたけど、売主さんも利益を得ているんだろうな」と考えるようにしています。
売主さんが儲かるかどうかと、自分が儲かるかどうかは必ずしも一致しないことが多いからです。
これについては、次回以降の記事で深掘りしていこうと思いますが、
・長期保有した売主さんが、家賃で買値を完全回収しているので、売値は相場よりかなり安いけど、どちらも儲かる取引である。
・土地の仕入れ+建築費に2割の利益を乗せて販売しているが、自分が数年保有すればいつでも残債以上で売れる想定であり、買えば確実に利益を出せる物件である。
という感じで「どっちも儲かる」という取引は珍しくありません。
・無茶なサブリースを付けて高値で販売したけど、入居を付けられず売主が破綻。買った人も返済ができずに破綻。
みたいな、どちらも儲からない取引だってあり得ます。
取引相手が儲かるかどうかで、投資判断をするのは危険かと思います。