不動産を売るときの専任や一般の話
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持ち物件を売る際には少しでも高く、そして早く売りたいというのが全ての投資家さんの願いです。
しかしそんな売主も自分が買う側になれば少しでも安く!と考えてしまう訳で、不動産においては基本的に「売買のWin-Win」はありません。
あるとすれば、相場が極めて長期間上昇し続ける局面か、売主買主のどちらかが勘違いで勝った気になっているという2パターンのみです。
◆たくさんお金をもらうための戦略
今日は売却についての話をしていくのですが、上述したように買い側はちょっとでも安く買いたいと考えており、そこに仲介会社の思惑も絡んで複雑なモデルが作られていくことを理解しておくことが大切です。
よくあるコラムのように「専任か、一般か」みたいな単純は話ではありません。
まず、こちらのツイートをご覧下さい。
売却を請け負いたい業者さんは
「高い査定で専任をゲット」
「徐々に価格を下げさせる」
「懇意の買取業者に卸してキックバックもらう」がベストな勝ちパターン。売主の味方とは限りません。大口客になれないなら、こちらも頭を使わないといけません。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) January 4, 2021
業者さんが専任を薦めてくるのは、よく言われるような「広告費をしっかり使える」とか「営業マンのやる気が違う」ということではなく、単純に手数料を多く確実にもらいたいからです。
◆専任取れたらこっちのもの
一度専任を受けさえすれば、勝利は半ば手にしたも同然です。徐々に価格を下げる提案をしていき、媒介契約が切れる3ヶ月直後には「ドンピシャなお客が来週内見する」など適当な話をでっち上げて無事に更新。
半年くらいを目処にキックバックをくれる業者さんに卸す金額は、そのまま転売できてしまうくらいの安値になっている・・という訳です。
仲介会社さんにとっては売り手も買い手もお客様で、双方から手数料をもらいます。
であれば、もし片方のお客が過去に何度も取引しているお得意様であったり、またはこれから多数の不動産を買ったり売ったりするような場合、そちらに偏った形で売買を誘導することは当然あり得ると考えた方が良いでしょう。
◆一般媒介は早期に脱落される
売る場合は「一般媒介にして複数社に競わせる」という手法が薦められているのをネット上でも見かけますが、そうとも限りません。
ぼくはこれまで「複数社を現地へ同時に呼び、その場で価格を合意してもらう」「個別に呼び出し、売れる価格を聞き出す」という両方を試しましたが、うまく行かなかったことの方が多いです。なぜかを説明しましょう。
同時でも、個別でも、業者さんと話をするのはどのタイミングでもいいですが、それぞれの会社から提示された価格を参考に、最終的には「売値」を統一して示すことになります。
例えば査定を出した会社が2つあるとして、A社が2千万円、B社が2200万円だったとする場合、普通の人であれば2200万円で売り出しましょう・・という流れになると思います。
その時点で「2千万円でも厳しい」と思っていたA社のやる気がなくなり、媒介契約はするものの実質的な販売活動はゼロに等しいということもあり得ます。
一般媒介にした際に全ての会社が頑張ってくれるためには、全ての会社の営業マンが「この価格ならすぐ売れる!」と思うくらいのお値打ちである必要があるのです。
もちろん、そんな価格で売りたい投資家さんなどいません。
◆上手くいった自社の事例
結局のところ、専任であろうと一般であろうと、仲介会社さんが「この価格で絶対に売るぞ」と思えないと売れません。
そのためには過去の取引実績だったり今後の取引拡大が見えたり、または偶然ドンピシャでハマりそうな見込み客がいたりといった理由が必要で、そうでなければ「たまたま売り物件を気に入った人が早めに現れた」という運の要素でしかないのだと思います。
ただ、最近続けて上手くいった事例がありますので、最後にご紹介します。
まず一括査定サービスを使って複数の業者さんとコンタクトを取ります。査定を出してもらうにあたって以下のことを伝えて下さい。
・最も高く出してくれた会社との専任媒介を予定していること
・専任期間は3ヶ月のみで、売れなければ他社に変更すること
・査定の金額からは、1円たりとも値下げをするつもりがないこと
そうすると、各社さんとも「3ヶ月で頑張れば売れる」くらいの価格を出してくれる訳ですが、直近2物件はこの方法で全て3ヶ月以内成約しました。
専任を巡っての競争があり価格が不当に低く出ないこと、事前に専任期間を伝えておくことでしっかり頑張ってくれることにつながるのではないかと思います。