不動産投資「真の失敗」(許容すべきリスク)
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不動産投資の失敗についての記事は、昔から非常に人気があります。
ぼくの失敗体験の記事3本は、全てブログ全体のアクセス数ベスト5に入っていますし、そのほかの「失敗一般」についても上位にいます。
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こういった細かいというか、ピンポイントの失敗はそれなりに経験をして自分のレベルを上げていく糧にすることもできますが、その物件を買ったことについての「真の失敗」はすべきではありません。
真の失敗とは、簡単にいうと「購入物件が、最終的に損失を出して終わる」ことです。下手したら破産です。
◆真に失敗する要件とは
不動産投資が最終的に損失を出して終わる条件について、少し前にツイートしていますのでご覧下さい。
◆不動産投資に失敗するには?
・キャッシュフローがマイナスの状態が続く。
・残債以上の金額で売却できない。
この2つが同時に発生しないと負けは確定しませんが、短期的にどちらかの状態になることは割とあります。
そこが許容できず、物件を買えないままの人は割と多いように思います。— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) July 22, 2020
このツイートは、数学で言えば「公式」とも言える普遍の真理なので、ぜひ覚えましょう。
大切なのは「2つ同時に発生しないと損失は確定しない」ということです。
◆片方のみに当てはまる状態(失敗とは言えない)
キャッシュフローがマイナスになるとしましょう。
予定していた入居率や家賃水準が満たせず、または経費が想定以上に増えてしまって毎月の収支が「持ち出し」になってしまう状態。
この状態が続くと、他の収入がある場合はそれがどんどん食われていきます。他の収入がない場合は貯金が減っていき、最終的にはローンや経費の支払いができない状態に陥ります。
しかし、キャッシュフローのマイナス状態が続いたとしても、この不動産の価値が購入時より上がっていたり、返済が進んで残債がかなり少なくなっているとしたらどうでしょうか。
その場合は、不動産を売却してしまえば終わりです。毎月の持ち出しに悩んでいたのが勘違いだったかのように、手元にはしっかりキャッシュが残ります。
また、何らかの事情で不動産の価値が急激に値下がりし、売却しても残債のはるか下の金額でしか買い手がつかないとします。
その場合、売値と残債との差額が月々の返済を進めてゼロ以下になるまで賃貸経営を続けられれば、最終的に黒字で投資を終えることができます。
キャッシュフローが常にプラスの状態であれば、そういったことも可能です。
◆「どちらかひとつ」は割と普通に起こる
このように「マイナスのキャッシュフロー」と「不動産価格の値下がり」が同時に発生しないと真の失敗にはなりませんが、逆にいうと「CFもプラス、売ってもプラス」という状態ばかりではないとも言えます。
トータルではかなり成功だったと言える投資においても、
・購入直後に転売すれば、売買諸費用の分だけ損をする
・満室になるまでは、月のキャッシュフローはずっとマイナスで推移
・保有中にリーマンショック級の経済危機が発生して、一時的に値下がる
ということは十分にあり得ます。
もっと言えば、土地を買って新築をするような開発系は、建物が完成して入居が始まるまではずっとマイナスをキャッシュフローに耐えているとも言えます。
不動産投資に踏み出せない人は、十分に起こりうる「片方に当てはまる状態」に(精神的に)耐えられないことが多いように思います。
「値下がりした時期と同時に、空室が激増するかもしれない」
「諸費用を回収するまで、持ちこたえられる自信がない」
みたいな感じでしょうか。
こういった思考も、突き詰めれば「賃貸経営スキルの不足や自信のなさ」に原因がある訳ですが、不動産投資で継続的に規模を拡大するにあたっては、
「片方の状態は、一時的には割と高確率で発生する」
ことを許容して、しっかり運営するという覚悟がないと難しいんだなということが分かりますね。
不動産投資のリスクを完全にゼロにすることはできませんが、一定の確率で発生するリスクを「真の失敗」に発展させないよう、事前に対策を考えたり財務的に備えておくことで、より安心して規模を拡大できるようになると思います。