債務償還年数の大事なハナシ
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今日はちょっと難しい、債務償還年数についての話をします。
決算書から読み取れる指標の中で、自己資本比率に並んで重要なもので「現在の利益やキャッシュフローで、借入金を何年で返済できるか」を示すものです。
◆債務償還年数の計算方法
計算式は、まず大家さんの借入金合計から手持ちの現金を引きます。
ここで借りているお金以上の現金を保有している資産家は、債務償還年数はゼロなので計算終わりですが、ほとんどの大家さんは億単位の債務が残っているかと思います。
算出された実質的な借入金を「税引き後利益+減価償却費」(※1)で割ります。
減価償却費は「キャッシュアウトしない経費」ですから、上記の「※1」で計算された額は、会社の年間キャッシュフローと考えられます。
ここで通常は、約定された元金返済を1年分している訳ですね。これを約定通りではなく「有り金を全部、繰上返済に充てる」場合に何年で債務がゼロになるかが、債務償還年数の考え方です。
当然、短いほうが「経営が安定している」と判断されます。
◆償還年数の基準は?
この債務償還年数、どのくらいをキープしていれば良いかというと、多くの金融機関で「15年以内」が合格水準だとされています。
ただし、賃貸業は長期の借入に依存する割合が高く、売上と利益が安定しやすいという特徴があるので、もう少し緩く(20年以内など)運用されている金融機関も多いように思います。
20年を超えたら一発アウトという訳ではありませんが、この数値は意識して決算書を作っていくことが大切です。
10億借りようと思ったら、利益と減価償却費の合計で5千万円必要だということなので、なかなかハードルが高いと思われた方も多いのではないでしょうか。
◆納税額の50倍は借りられる
償還年数と税金について、少し前にツイートしているのでご覧下さい。
◆税金は融資のチケット
金融機関は「債務償還年数」という指標を非常に重視しています。
計算式は多少複雑ですが、基本的には法人の利益額にほぼ比例するのでしっかり利益を出して納税したほうが良いです。払った法人税の50倍くらいはお金借りられます。
(そう思わなきゃやってられない)
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) October 13, 2020
法人が支払う税率は、利益の額や社員さんの数によっても違いますが、なんやかんやで利益の3割ちょっとくらいを法人税や住民税、事業税として支払います。
消費税や固定資産税は会社の利益と連動しているものではないので、このツイートでいう「税金」ではありません。
つまり、利益と連動する税金を1千万円支払うような会社は、3000万円くらいの利益を出していることになり、これに減価償却を加えて逆算すれば、償還年数15倍で計算して5億円以上の融資枠が取れることになります。
だから、払った税金の50倍は借りられる・・という計算になるのです。
納税は誰にとっても嫌なものですが、融資枠を買ったんだと思って頑張りましょう。
◆償還年数を短くするテクニック
償還年数は会社の利益と、減価償却費が多いほど指標が良くなります。
ですから、おかしな節税をしないでしっかり利益を出すことが大切なのですが、減価償却費を増やすことでも改善されます。
不動産投資では「経費にしても、償却資産にしても、どちらでも良い支出」が結構あります。一定額以上の修繕であったり、購入時の登録免許税や不動産取得税など。
これらは納税額を減らすために経費(損金)算入する人が多いですが、あえて不動産の取得価格に含めて資産計上してしまうことで、減価償却費を増やしていくことも可能です。
その年の納税額は増えてしまいますが、何年もかけてゆっくり損金化していくイメージですね。これをやると自己資本比率も増えるのでオススメです。
決算書は奥が深いですよね。税理士さんとしっかり相談して、たくさんお金を借りちゃいましょう。