自己資金が乏しいことへのコミット
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自己資金の問題は不動産投資を進める上で、常について回ります。
規模が増えてくると、賃料収入や売却時の利益も積み上がっていきますが、そういう人たちは狙う物件規模が大きくなったり、購入時または直後の資金拠出も多かったり(※)で、その人なりに資金の余裕がなかったりするのです。
※立地を重視するために融資割合が少なかったり、物件再生の費用が購入額とは別に必要だったりするため。
しかし、やはり自己資金でいちばん悩むのはスタート直後の時期です。今日はそこをテーマにしてお話をさせていただきます。
◆金融機関からはどう見えるか?
実は今でも、自己資金を限りなく抑えて不動産を買うことはできるのですが、いろいろ制約ができてりまうのが悩みどころです。こちらのツイートをご覧下さい。
◆「とにかく自己資金使いたくない」という人がコミットすべきこと
・地味なエリア
・ちょっと高めの金利
・耐用年数を超える返済期間
・イマイチ先の見えづらい出口
・低めの入居競争力豊富にあるけど使いたくないというのはまた別なんですけどね、、嫌ならお金貯めるしかありません。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) December 2, 2020
いろいろコミットすれば、自己資金を限りなく抑えて不動産を購入できます。しかしコミットできないなら、お金を貯めるしかない。
そういうことを説明したツイートです。この理屈は分かりますでしょうか。
まず、金融機関にとって十分な自己資金がないけど、不動産投資に興味のある会社員というのはどういう見え方をするかというと・・・
・いわゆる「富裕層」に比べると、当然リスクが高い
・安定した給与収入は、大きなプラスポイント
・定年まであと20年以上ある
・賃貸経営の経験も実績もないので、難しい物件を運営させるのは不安
こんな感じでしょう。
この段階で「いやいや、やはりこのような種類の人に長期のお金を貸すのはやめておこう」と考える金融機関も数多く、だからサラリーマン大家さんが使える金融機関は常に少数なのです。
◆サラリーマン大家さんに貸すということ
しかし、中には「ニーズは高いから、うまく商品化して利益を出そう」と考える金融機関もあります。
かつてはスルガ銀行や西武信金でしたし、今だと四国系の銀行や静岡銀行など。地方在住の方は、地元の地銀でも見つかるかもしれませんね。
そういう金融機関であっても、やはり地主さんとは富裕層に比べると「リスクが高い顧客」としてサラリーマン投資家さんを認識しているので、融資の安全性・公平性を保つためにもまずは「金利」を高めに設定します。
最初から高めの金利ありきの制度です。
だから「金利がちょっとなぁ・・」とぼやいてしまうのは最初から間違っている訳で、そういう金融機関を使うのであれば、最初から納得しておかなければなりません。
◆金利とLTVが高いから、エリアが限られる
金利が高い上に、フルに近い融資割合(LTV)で借入をするとなると、どうしても返済比率が高まります。
1億円の物件を買う場合でも金利3%のフルローン(30年返済)だと、月々の返済は42万円しますが、これが8千万円1%だと25.7万円で済みます。
この1億円の物件が都内にあって表面利回り6%だとすると、月の賃料収入は50万円ですから、金利3%フルローンでは到底返済し切れません。
となると、このような融資条件で購入できる物件は、それなりの利回りを確保する必要がありますので、上記ツイートにあるような「地味なエリア」で「低めの入居競争力」の物件を狙わざるを得ないということになります。
◆仕方ない耐用年数超え→出口の見えづらさ
また、相応の利回りで出ている物件は、地味なエリアであってもいわゆる「築浅」であることは少ないです。木造でもRCでも、築20~30年くらいの売り物件が一般的でしょうか。
となると、お堅い金融機関がルールにしているような「耐用年数の範囲内での返済」を厳密に当てはめると、毎月の返済額が増えすぎてしまってやはり返済できません。
ですからやむなく、耐用年数を超えた期間であっても返済期間を延ばさざるを得ず、その結果ツイートにある「先の見えづらい出口」を我慢しなければならないという訳です。
もちろん、先が見えづらいのは融資をする金融機関も同じなのですが、そこは安定した、物件の耐用年数よりも長い「会社員の勤続可能年数」を担保にしているのです。
ちょっとエグいと言えばそうかもしれません。
◆最初を乗り切ると・・
ということで、なかなか制約の多い「自己資金を抑えた投資」ですが、ここを上手く乗りきって利益を残せた人は、次のステージに進めるようになります。
経験と実績(決算や確定申告)ができたことで、普通の金融機関が使えるようになったり、再生系の案件でもお金が借りられるようになったりで、より大きな収益を得られるチャンスが増えていきます。
何をやるにしても最初は大変ですが、しっかりコミットして乗り切っていきましょう。