任意売却の話(安く買えることがある理由)

2021年3月5日

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今年になってから、任意売却で区分マンションを2件購入しました。現在保有している区分マンションのうち、1割くらいが任意売却経由での購入です。

任意売却は「ニンバイ」と呼ばれることが多く、競売(ケイバイ)と語感が似ていることからも、何か特別なイメージを持っている方もいらっしゃいます。

今日はこの、知ってそうで知らない任意売却について採り上げてみようと思います。

 

◆普通の売却や競売との違い

任意売却というのは、競売のような特殊な売却方式ではありません。

ローンの返済が遅延して、いわゆる「期限の利益を喪失」した債務者が、債権者(銀行やサービサーなど)によって不動産を売却させられることを言います。

 


【普通の売却】
・不動産の所有者が売りたいと思って売りに出す
・価格や買主の決定権者は、もちろん売主。
・不動産会社が仲介することがほとんど。

【任意売却】
・債権者が主導、または所有者が債権者の許可を得て売りに出す。
・所有者の関与度は、ケースによってまちまち。
・任意売却を得意(または専門)にしている会社が仲介することが多い

【競売】
・所有者の意思はまったく無関係。債権者が売りに出す。
・価格や買主は、入札でフェアに決定される。
・裁判所が管轄で、不動産会社は関与しない。


それぞれを比較してみると、こんな感じですね。

任売は売却の経緯や主導者が普通と違うというだけなので、そういう物件が楽待や健美家に掲載されていることもあります。

 

◆話がぽしゃる理由(=債権者も自分のお金じゃないから)

「任意売却物件は、お得に買える」というイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。案件によります。

 

例えば、ローン残債が3千万円あるマンションが任意売却されたとしましょう。住宅ローンの返済が滞っているので、売主さんは当該物件に居住中です。

居住中の物件はあまり高く売れません。ローンを滞納しているような人なので、マンションの管理費なども払っていないことが多いです。こういう債務は買主が引き継ぐことになるので、売れる価格はさらに下がります。

 

数ヶ月して、なんとか2500万円の指値買付が入ったとしましょう。

この金額で売ってしまった時点で、債権者は貸したお金の一部を放棄することが確定します。泣き寝入りですね。

なので、相場がどうあれ「その金額では了承できない」と買付が通らないこともよくあります。不動産会社と債権者の間でしっかり合意ができていないと、たとえ満額の買付であっても売ってもらえないことがあったりします。

※任売が長期間まとまらず競売に移行してしまうと、さらに回収額は減ります。でも競売は「その金額以上では売れなかった」という事実が客観的に証明されるので、サラリーマン気質の会社だと、あえて競売移行するケースも多いのです。債権者だって、自分のお金じゃないですからね。

さらに、債権者が1社だけとは限りません。所有者さんが事業をやっていたりすると、自宅を二番抵当に入れて運転資金を借りたりすることもあり、その場合は債権者全員の合意が必要です。

 

◆安く買うために重視される条件

なかなか話がまとまらない任意売却ですが、逆に「債権額と比べて、不動産の価値が高い」場合はチャンスです。

債権額より高く不動産が売れた場合、差額は当然所有者がもらえるのですが、債権者は自社分を回収できればそれでよいので「ちょっとでも高く売ってあげよう」とは考えません。

 

債権者が「債権の回収」以外で重視するのは「取引がスムーズかどうか」「確実に売れるか」の2点ですから、そこを満たすような買主であれば相場をかなり下回る金額で物件をゲットすることも可能です。

ローン特約や瑕疵担保責任を放棄してくれたり、素早く決済してくれるような買主は優遇されます。

先日は「売買金額を売主の口座に振り込まないでほしい」という要望がありました。

口座にお金が入ってしまうと、任売に関与している債権者以外の会社が口座振替によって売却金額を奪っていってしまうリスクがあるためです。(このくらいの債務者だと、自分が何にいくら滞納しているか把握していません)

融資が実行されたらそれを現金で引き出し、それを売主さんが各債権者に窓口振込をするのです。かなりイレギュラーですよね。

 

◆実績ができると向こうから案件が来る

一度任意売却で購入したという実績ができると、仲介会社さんから「またあるんですけど検討いただけませんか?」と打診がくるようになります。

同じように手間が掛かり話がぽしゃるリスクも高めなのですが、それに見合う金額であればまた頑張ります。

不動産会社の実力にも各社かなり違いがあるようで、何度案件が来ても債権者との話がまとまらないまま立ち消えする人もいれば、びっくりするほどスムーズに進む人もいます。

後者のような会社とは、深く長くお付き合いしていきたいものです。

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