管理会社の戦力ダウン
■不動産投資の羅針盤「プレミア投資部」はこちら
■大家さんのための無料Web情報誌「満室経営新聞PLUS」はこちら
4月のコンテンツが配信されました。
今日は「入居率が下がってきたなぁ」と感じたときに、それが物件の競争力や競合の問題だとは限らないという話をしたいと思います。
◆どんな企業も「ずっと同じ」ではない
こちらのツイートをご覧下さい。
管理会社さんも一企業なので、社員が辞めたり会社の雰囲気が悪くなったり、何かのトラブルに巻き込まれたりします。
そうなると管理体制や入居率にも確実に影響してくるので、親しく永続的な付き合いをしながらもシビアに見る目が必要。最重要パートナーであっても一連托生の間柄ではありません。— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) April 9, 2021
賃貸管理を主業としている会社は小規模なところが多いですし、大きな会社だったとしても、ひとつの拠点(支店など)にいる人数はほとんどの場合10名以下です。
なので、人が辞めたり入れ替わったりすると、チームの戦力にかなり影響します。
自分の物件を直接担当している人であれば退職・異動の情報をすぐにキャッチできますが、「別の人が辞めたことで、自分の物件を担当していた人がその業務に時間を取られている」ようなケースは、大家さんとしては気付きにくいでしょう。
退去が出てもなかなか埋まらなかったり、久しぶりに現地を訪問してみるとなんだか薄汚れた感じがしたりと、ちょっとずつ環境が悪化していきます。
管理会社さんとしては、「いやー、人が辞めて入居付けに手が回らないんですよ」と正直に言ってくれるはずもなく、築年数が古くなったとか新築アパートがたくさん供給されているとか、それっぽい理由でごまかそうとするものです。
もしかしたら、仲介件数の減少による売上マイナスを、修繕費などを増やすことでカバーしようとするかもしれず、以前に比べて「あれ、なんかよくモノが壊れるな」「退去時の修繕費が増えて来たな」と、じわじわと大家さんの収益が圧迫されていくことになります。
◆管理が圧倒的に手薄になった体験談
自分の場合だと、最初に委託をした管理会社さんで「明らかな戦力ダウン」を経験したことがありました。
数年間は関係も入居率も良好だったのですが、ある時期を境にメールの返信がちょっと遅めになり空室が少しずつ増え、退去が早まった感じがしました。
経験の浅かった自分は物件の競争力低下以外に原因を想定することができませんでしたが、あるとき一人の社員さんが「県営住宅の仕事が忙しい」というようなことを言いました。
「え、なにそれ?県営住宅??」
要するに、その管理会社さんは自分の知らないうちに県営住宅の管理や入居窓口の仕事を請け負うようになっており(民間企業に投げている自治体は結構あります)、同じ人数で管理戸数がドカンと増えたことになります。
そりゃ、既存物件の業務は手薄になるでしょう。
そっちの仕事がどのくらい大変なのかは分かりませんが、その後は社員さんが割と頻繁に辞めるようになりました。さらに戦力ダウンです。
当時の自分は管理を変更することは考えられず、「まあ、いい時期だし物件を売却しちゃおうかな」と判断して、県内に所有していた物件を毎年1つずつ売っていきました。
築年数の浅い物件をかなり安い価格で手放しており、もう少し保有しているべきだったと思います。
一応、その会社には義理を果たしたことになりますが、向こうが自分に対して義理を感じてくれたかはちょっと分からないですね。
◆戦力低下を早めに察知する方法
さて、管理会社さんの戦力低下をなるべく正確に早く知ろうとした場合、次のような活動が効果的かと思います。
・社員さんの入社、退社や異動について定期的に確認する
・担当の人だけでなく、なるべくお店の人全体とコミュニケーションを取る
・管理会社のホームページを定期的に見る
・打合せはちゃんと事務所に行く(建物現地で済ませない)
・同じ会社に委託しているオーナーさんと知り合っておく
・客付け営業などで他社を訪問する際に、世間話として話題を振る
戦力が低下してきたことがはっきりした場合は、責任者としっかり話をして状況の改善をはかるか、こっそり他社との打合せを進めておいて、突然管理の切り替えを申し出てしまうかは判断の分かれるところです。
業績が悪化して、このまま行くと倒産も・・ということが予測されるのであれば、スパッと切るのが良いですが(ツイートの通り、大家さんと管理会社は運命共同体ではないです)、そうでなければ一緒に頑張っていくのも良さそうです。
県営住宅の仕事を受託した上記の会社も、いまは業務も安定して業績も上がっていることが同社のホームページから見て取れますしね。混乱状態も、いつかは改善しまするものです。
大変な時期を(内情を知りつつも)一緒に頑張った大家さんという存在になれれば、より強固な関係性を作り上げることができるでしょう。