会社員の参入障壁と、自己資金の話
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15年以上も不動産投資をやっていると、融資が緩くて価格がどんどん上がる時期もあれば、リーマンショックの直後のように意味も無く価格が下がるような時期もありました。
(※リーマンショックの直後も、今ほど融資が厳しくなった訳ではなく相応の自己資金を持っていれば大きな物件を買うこともできました。いま考えるとボーナスステージだったと思います。)
「不動産相場の今後の見通し」みたいなのは、詳しい人のコラムを適当に読んでおけば十分だと思いますが、「今がどういう状態なのか」は正しく把握しておくべきでしょう。
◆会社員の新規参入、めっちゃ難しい
今を説明するにあたって特徴的なのは「新規参入の会社員に厳しい」ということで、これは自分が知る限り(2003年くらいからの流れ)の中で、いちばん大変な状況かもしれません。
簡単にまとめたツイートがあるのでご覧下さい。
◆不動産投資の参入障壁(会社員)
・自己資金(500万円〜、融資を受けるならその2倍くらい)
・勤務先属性で借りられる金額の低下
・ほとんどの人にとって「退職しないままの事業化」が必須大変だけど突破口はあるはず。
しっかり考えて記事にしていきたいと思います。— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) August 26, 2021
自分の時代も融資は厳しかったのですが、まだ「サラリーマン大家さん」という言葉を前向きに捉えてくれる金融機関が多かったように思います。
将来の備えのために小ぶりのアパートを頑張って運営し、つつましく副収入を得ていく・・くらいのイメージでした。
そういった可愛らしい存在が次第に増長し、「自己資金ゼロで一攫千金、光速リタイアのためには手段を選ばす」というような感じで見境がなくなり、コンプラ違反をするだけでなく、実際の投資も激しく失敗。
さらには「失敗したのは銀行のせいだ!貸さなければこんなクソ物件買わなかった」という責任転嫁を(一部の人だけですが)している状況ですから、そりゃあイメージが悪くなるのは当然というものです。
◆なにより、まずは自己資金
ということで、金融機関の姿勢も2年前くらいから大きく変わりました。具体的には
・会社員向けの収益物件融資を行わない
・定型融資の対象となる勤務先属性を、大幅に引き上げる
・担保や属性評価に関わらず、拠出する自己資金の割合を引き上げる
(LTVを機械的に引き下げる)
といった方針変更を取りました。
ほかにも、耐用年数と融資期間の規定を地主・資産家系以外は厳しく運用するようになったりするような金融機関もあります。
全方位で厳しくなっている印象ですが、最初の一歩を踏み出すにあたっての高いハードルになるのが、やはり「自己資金」でしょう。
不動産の価格を100、諸費用を7とすると、一時期だけ存在したオーバーローンの場合で自己資金拠出はゼロ、フルローンで7。これが「自己資金2割」という今では普通の条件になると、一気に27になります。
フルローンなら1億円の不動産を買えていた人でも、自己資金を2割出さなければならないとなると、3千万円のアパートも買えません。
◆自己資金はマインドの問題
そういった状況の中で採りうる選択肢は
・頑張ってお金を貯める
・融資を諦めて現金購入のスタンスでスタートする
・数少ない「自己資金が少なく済む銀行」を使う
の3パターンしかありません。
でも、実際には「どれもイヤ」って人が多いんですよね・・笑
上記のツイートでは「融資を受けるなら1千万円くらいの自己資金~」と書いています(自己資金が少なく済む銀行の場合です)が、実際にこのくらいの金融資産を持っている人でも、なかなか決断ができません。
「ここで800万円も使ってしまったら、2棟目が買えない・・」みたいなことを言ってしまう訳です。フル&オーバーローンで買えていた時代のお話は、何年経っても投資家さんを呪縛しています。
結局のところ、自己資金については「どれかにコミットして進むか、潔くやめる」という選択しかなく、知識やスキルや情報やテクニックでは解決できないマインドの問題でしかありません。
ここを解決して先に進めた投資家さんが、その後の参入障壁をマインド以外の要素でクリアしていくことになります。