現地で確認する3つのポイント
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少し前に、現地調査の必要性についての記事を書きました。
現地を見ていると頑張っている気分に浸れるけど、現地に行く前の資料やネットによるリサーチこそが大切だということ。机上調査を経て合格した物件だけを見るということをお伝えしています。
◆現地で確認すべきこと3つ
とはいえ、現地に行かなくても良いということはありません。
ノールック買付を推奨されている投資家さんもいますが、現地を見ないことで節約できた時間と、見なかったことでのリスクを比べると、見ないで買うのはやはり危険だというのが自分のスタンスです。
現地で確認すべきことは簡単。以下の3つのみです。
1.建物の状況
2.周辺の環境と雰囲気
3.競合物件の入居状況
◆建物チェックは「あら探し」ではない
建物を見て劣化具合を確認したり、その改善のためにどのくらいの費用が掛かるかを予測します。購入の判断はもちろん、価格の妥当性を把握したり、今後の資金計画を考えたりします。
大規模修繕が必要な時期の前に売却してしまう・・などの青写真を描いたりするためにも、建物の痛み具合は把握しておきたいところです。
同じ築20年の建物でも、定期的にメンテナンスされているものはピカピカですし、完全放置物件は廃墟のように荒れます。
ただ、売却しようとしている物件が直前に大規模修繕されているようなことはありませんし、自分と同じように売主さんも、修繕費用が掛かりそうだから・・という理由で売却してたりする訳です。
「荒れてるからダメ」「クラックがあったので買うの辞めます」では、いつまで経っても中古物件を買うことはできません。不具合がある前提で、それでどうするのかを考えるのが中古の運営です。
◆長く滞在していると見えてくるもの
周辺環境については、調べようとしなくても現地に行けば自然に分かります。
町工場が近くにあって金属臭がただよっていたり、幹線道路の近くで騒音がうるさければ自然に分かります(ちなみに、線路の近くについては気になる人も多いですが、住み出すと電車の音に慣れてしまう人が多いです)
自分の場合は、買付を入れた物件の周辺を30分くらいうろうろすることが多いです。変な人が出入りしていれば分かりますし、部屋の中から怒鳴り声が聞こえてくることもありました。管理の不手際に気付くことも多いです。
怪しまれないように注意しましょう。
これも、「だから買うのを辞める」のではありません。購入後にどうやって立て直そうかというイメージを作っておくと、入居率改善のスタートダッシュが切れます。
「こんなにダメなところがあるのに入居率70%・・・こりゃ、テコ入れしたら満室は余裕だな」という確信が持てると、自信を持って購入できます。
◆その建物の入居率には意味がない
最後に「ライバル物件の入居率」です。周辺にある、またはより駅の近くにある似た間取りの物件の入居率を確認します。
買おうとしている物件の入居率は参考になりません。
売主さんがダメ大家であれば、周辺が満室でも空きだらけになりますし、その逆であれば一人勝ちしていることもあります。売却のために短期的な無理のある入居付けをしている可能性もあるでしょう。
だから、入居率はライバル物件のものを見るのです。一棟だけだと偏りがでるので、最低でも3~4棟は見るようにします。地方に行くとライバル物件といえども距離があることも多いですが、ここはチェックしておいてください。
賃貸経営の実力を上げれば、かなり地方でも満室経営ができると思っていますが、やはり需給関係を大きく超える成果は出せません。どうやったって苦しい戦いを強いられるエリアであれば、撤退することも必要です。
ちなみに、入居率の調査方法はいろんな書籍に書かれていますが、ぼくのお薦めはガスメーターです。
空室の部屋でも、換気や内見対応のために電気を通している大家さんは多いので、電気メーターで確認しようとすると、空室を入居として捉えてしまう可能性があります。
空いている部屋にガスを通している大家さんはいませんので、ガス栓が見つけられればそこで判断するのが良いと思います。
このガスメーターは開通してます。閉じてるとガス栓が横向きになります。
ということで、現地調査の概略について説明しました。
なお、現地調査について解説した本はたくさんありますが、雨宮さんの本がいちばん詳しいし分かりやすいと思います。投資全般についても理解しやすいです。
致命的な問題があれば勇気ある撤退が必要ですが、ダメなところがあっても「ダメ出し」で終わらず、どう改善していくかを考え抜くことが、経営力アップにつながっていくと思います。