自社の「経費の金額」ベスト10(後編)
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前回の続きです。前編では「支払っている金額が多い費目」の5位まで発表していますが、1~4位の前に少し補足説明をさせていただきます。
◆あれ、修繕費は?(経費にしてません)
多くの大家さんを苦しめている「修繕費」ですが、自分の法人ではランク外(11位以下)でこの先にも出てきません。
理由としては、修繕費負担が多い一棟もの物件の大半は個人の所有になっていて、法人での負担はしていないこと、法人保有の区分マンションはほとんど「経費になる修繕」が発生していないということが理由です。
「売却の時にはリフォームするんじゃない?」と思うかもしれませんが、大きな修繕があった場合は建物に資産計上していますので、やはり支出としては現れない仕組みです。
リフォーム費用として拠出している金額は、年間数百万円になるでしょうから、これを経費にするか資産計上するかの差は大きいです。
◆年間100万円未満の費目
ちなみに、次点というか「惜しくもトップ10に入らなかった」という費目としては、顧問の税理士さんや社労士さんに支払っている「報酬」や、事務所や空室部屋の「水道光熱費」、事務所を運営していく際にいろいろ必要な「消耗品」などがありました。
10位の交際費・法定福利費からが実額100万円を超える支出でしたので、11位以下の費目については家賃売上から見ると1%未満の金額です。
なので、コピー用紙のムダ使いを控えてみたり、飲み食いを安い店にしてみたりといった努力は決算上ほとんどインパクトがありません。空室をひとつでも減らす方がよほど大切ですね。
では、4位から上をご紹介していきましょう。
◆4位「地代・家賃」
こちらは、事務所の賃料、役員社宅として借りているぼくの自宅の家賃、それから借り上げの駐車場や野立て太陽光パネルの借地料などが含まれます。
事務所も自宅も、横浜の中ではかなり良い場所にありますので、そこそこの家賃が掛かります。
事務所や自宅の家賃は、その気になれば決算書にインパクトを与えるくらいの金額を節減することはできます。
ただし、家賃の節約は自分や社員さんのモチベーション低下や、金融機関の方などに訪問いただく際の利便性悪くなるというデメリットもありますので、今のところは手を付けるつもりはありません。
◆3位「租税公課」
経費の3番目は税金です。税金といっても利益に応じて徴収される法人税ではなく、利益確定前に支払う税金を「租税公課」といいます。
一番多いのが保有物件の固定資産税で、これだけでも年間500万円近くかかります。
それから物件購入時の不動産取得税、登記の際の登録免許税、契約書に貼らなければいけない収入印紙もここに含まれます。物件をたくさん買うと、当然増えます。
社員さん全員分を合わせた給与をも超える額の税金を、稼ぐかどうかに関わらず支払っている大家さんという人たちは、日本政府に貢献しているということで、もう少し世間からよく思われてもいいのではないでしょうか。
◆2位「管理費・修繕積立金」
1位と2位は、桁が上がって年間1千万円を超えてきます。
区分マンションの管理組合に支払う管理費と修繕積立金は、区分投資をしていく上でかなりヘビーな固定支出になります。
2つ合わせて家賃の2割くらいが平均ですが、空室で家賃が入らなくても支払わなければなりませんし、管理組合の運営が下手くそだと途中でドカンと値上がりすることもあり、購入する前の段階でなるべく見極めをしていかなければなりません。
安すぎたり、積立金の残高が不足していたり、会計資料が雑なマンションを避けていくことでリスクを回避していく訳ですが、それにしても高いですよね。
◆1位「支払い利息」
そして、2位と僅差でしたが堂々の1位は「ローンの金利」でした。
これについては仕方ありません。何億円ものお金を借りているレンタル料と考えれば、日本の金利は安すぎるくらいだと思います。
もちろん、全部の金利が半分(平均0%台半ばくらい)になると、この費目は支出の3~4位くらいになりますが、金利を追求しすぎて借入そのものができなくなるのは本末転倒ですし、今後も金融機関とは良好な関係をキープしたいので、今のところは現状のままでいいのかな、と考えています。
ということで、自社の支出についてご紹介しました。
純利益と減価償却を合わせた金額で、会社の「長期借入金-現預金」を割った債務償還年数は、13.27年でした。これは、なかなか優秀です。