新築ワンルームが今でも売れている理由
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いろんなところで同じような話を目にすると思いますが、不動産投資で損をするパターンとして真っ先に挙がるのが「新築ワンルーム」です。
不動産投資の本や投資家さんのセミナーなどをひととおり勉強すれば、必ずどこかで「買ってはいけない」という話を聞くのに、相変わらずマンションは建ち続けています。
考えてみたら、これってすごいことですよね。
◆ニーズがあるから売れている
新築ワンルームがなぜ令和になっても建ち続け、そして売れていくのか。不思議に思われるかもしれませんが、これにははっきりとした理由があります。
・新築ワンルームを求める層が、いつの時代にも存在するから。
・こういった物件を販売する営業マンが優秀だから。
ワンルームを求める層がいるという事実は、このブログをご覧の方であれば納得いかないかもしれません。
ワンルーム販売のイメージとしては、不動産の「ふの字」も知らない人に対して、他の利回りの高い投資の存在を知る前に強引に押し込む・・みたいな感じでしょうか。
しかし、実際の販売現場は意外にもそうではありません。今はクーリングオフの制度もありますので、顧客にはきちんと納得した上で契約をしないとキャンセルされていまいます。
いったい何に納得しているのか。こちらのツイートをご覧下さい。
◆ブログ、メルマガ、コラム、セミナーなどで人気の「ある」テーマベスト3
1. いかに貯金なしで買うか
2. “大家さんの仕事は記帳のみ!”系
3. 他人のトラブルや失敗例これ、新築ワンルームのセミナーやセールストークに全部出てくるんですよね。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) June 29, 2020
これは、ちょっと前に記事にした「セミナーなどで不人気な話」の対比としてのツイートです。
不動産「投資」とは自分の資金を拠出して運用益を得ること=ある程度の金融資産は必要だし、経営的な側面が強いので管理運営はめっちゃ大切だし、やり遂げるためには強い意思と決断力が必要です。
・・ですが、できれば面倒な貯金をすることなく、買ってしまえば後はほったらかしでお金が入ってきて、基本的に誰でもできるやり方があれば嬉しい・・・という潜在ニーズは誰にでもあります。
不動産で成功している人は、そういう都合の良い話はないと知っていて、努力する方向にコミットしている訳ですが、新築ワンルームを売っている会社は上記のような「人間の弱い潜在意識からのニーズ」を上手く捉えてビジネスをしています。
頭金なしで、手間いらず。確かにその部分は事実ですよね。
◆失敗談で恐怖を与える
ツイートの3番目。「失敗談」は昔も今も非常に強いニーズがありますが、実はワンルームの営業トークとして失敗談は上手に活用されています。
「何を言ってるのさ。あなたが売っているワンルームこそが失敗じゃないか」と思われるかもしれませんが、実際にワンルーム系のセミナーを受講すると、他の投資法のデメリットや失敗例がふんだんに紹介されているのが分かります。
・地方物件を買って、空室が埋まらず破綻した人
・ボロアパートを買って修繕費がまかなえず、都内の区分にシフトした人
・管理が大変すぎて本業や家族関係に支障がでたような人
こういった感じで「だから成功は”23区内!”そして”新築!”」という刷り込みをしていきます。
マイナスのキャッシュフロー&残債以下でしか売れないことよりも、破産しないということに目を向けさせ、「でも年金不安のために自助努力を」と訴え「不動産を買う」こと自体は前提条件にします。
「不動産は絶対に買わなければならない。新築ワンルーム意外は破産のリスクが高い。ということは選択肢はひとつ!」
こういうロジックで、セミナー参加者は個別面談そして購入へと進んでいくのです。
◆ジャンク新築と構造は同じ
HOME’Sのコラムで「ジャンク新築(利回りと分かりやすい立地だけが売りの、粗悪な新築アパート)」について、こういう物件が建築されるのは投資家にそういったニーズがあるからだという話をしています。
このコラムと同じで、新築ワンルームは投資家予備軍の安易なニーズを上手に捉えて、それをきちんと提供しているという意味では、とても優れたビジネスだと言えるのではないでしょうか。
顧客の無知を前提としたビジネスは「情弱ビジネス」として、個人的にはあまり好きな稼ぎ方ではありませんが、一方で情弱ビジネスは非常に儲かるのも事実。
いつの時代もどの業界でも情弱ビジネスは存在し続けるので、買い手がリテラシーを上げるしかありません。