誰が滞納保証料を支払うべきか
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米国のゴールドジムが経営破綻・・・。ショックです。
日本はもちろん、アメリカのジムも営業は継続されるとのことですが、手堅そうな業態であっても簡単にダメになってしまうんだなと驚きました。
数ヶ月分の固定費も内部留保として確保できていなかったのか。ジムの会費を1年分まとめて支払っている人も多いはずなになぜ・・と疑問は尽きませんが、不動産投資家としては、不測の事態に備えてきっちり手元資金を確保しておきましょう。
さて、何かと文句を言われることが多い賃貸業界の商慣習ですが、礼金や更新料と並んで槍玉に挙がるのが「滞納保証会社の保証料」です。
そもそも家賃保証会社は大家が加入するものなのに借主が保証人つけてまで保証料払っている現状がおかしい。
コロナ鍋を契機にこのゴミシステムを崩壊させないと— アライさんから改名された玉袋筋太郎なのだ! (@kabuman1000) 2020年5月2日
※コロナナベってなんやねん、、笑
・保証人を付けたのに保証会社に加入するのはおかしい
・大家のための保証なんだから、保証料は大家が負担しろ
このあたりが、お部屋を借りる側の人の主張です。
ぼくが不動産投資を始めた頃は、実はまだ滞納保証というのは一般的ではありませんでした。普通に保証人を付ける賃貸借契約がほとんどだったと思います。
そして、ぼくも最初は「保証料を入居者が払うのはおかしい」と思っていました。まぁ、払ってもらえるのを断りはしませんでしたけど・・(笑)
ただ、滞納保証という制度が短期間に広まったのには、やはり広まるだけのメリット(借主貸主双方ともに)があるんですよね。悪いのは、横柄な貸主でも保証会社から販売手数料をもらっている仲介店でもなく、法律なんです。
今日は、保証会社が必要な理由について説明しましょう。
◆借主に有利すぎる日本の法律
日本には戦前に制定された「借地借家法」という悪法があります。
この法律で入居者が過剰に守られているため、貸主は他業界では当たり前のことができません。具体的に挙げると
・家賃を払わない人に対して、その部屋を使えないようにする
・タダで自分の不動産を占有されたら、警察に頼って追い出す
・きちんと予告をして相応の期間を取って、入居者に出て行ってもらう
こういったことが、一切できないのです。
飲食店を例に出すと、「散々食べ散らかした上にお金を払うつもりのない客(もはや客じゃないけど)に、おかわりを提供し続けないといけない。もちろん警察に行っても民事だからと対応してくれない」という感じです。
まともでないことは、誰か見ても分かります。
普通の大家さんでは上記のような悪質な入居者に対処することは難しいので、滞納保証会社に頼ってしまうわけです。
◆かつての保証人制度が機能しづらくなっている
昔に比べて保証人という制度自体が機能しづらくなっています。
本人に何のメリットもなくリスクだけを背負い込む制度であるため、ごく近い身内であっても承諾を得られないケースが増えました。
また、今年の4月からは民放が改正されたこともあり(「保証人は●百万円まで責任を持つ」と契約書に明記するようになりました)、「頼める人がいないので、お金で解決できるならそうしたい」という入居者側からのニーズも高まりました。
ぼくも、部屋を借りる際に「連帯保証人か滞納保証会社加入かを選べる」ということなら、迷わず保証会社を選びます。
保証人と保証会社の両方が必要な部屋も少なくありませんが、その場合の保証人は滞納家賃に対する責任というよりは、身元保証に近い意味合いになっています。
◆保証料をどちらが払うか問題
「大家のための保証契約なんだから、入居者が支払うのはおかしい」というのは、確かにごもっともだと思います。上述の通り、かつての自分もそう思ってました。
ただ、そんな人でも自分が家を買って住宅ローンを組んだ際には、銀行のための保証料を自分が払ったりする訳です。もうこれは、商慣習でそうなっていると思うしかありません。
保証料を入居者が払うのはおかしい!と思っていても、自分以外に保証料の支払いを受け容れる人がいたらおしまいです。部屋を借りることはできません。
保証会社が必要なかったり、保証料を大家さんが負担するような物件も地方に行けば結構あります。エリアや需給バランスから生まれた「貸し手・借り手の力関係」で決まっていることなので、入居者の選択肢は住みたい部屋を妥協するか、保証料の支払いを妥協するかしかありません。
今のように、どんな会社が存続できなくなるか分からないような時代においては、滞納保証会社のニーズはさらに高まると思います。
賃貸借の世界は貸し手も借り手も矛盾と不条理だらけですが、ルールを変えようという声は上げつつも、決められたルールの中で上手に立ち回っていくしかありません。