滞納者からの逆恨みを防ぐ方法
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ぼくは、保有している区分マンションのほとんど全てを自主管理しています。
家賃を滞納する人やそれが長期化して追い出されてしまう人、家賃は払っているけど共用部に私物を置いたりマナーの悪い人などは、基本的には自分で対処しなければなりません。
そんな中、昨年末にちょっと怖い事件が起きました。
※Yahoo!ニュースの記事。画像クリックで元記事へ。
◆大家さんのプライバシーが危険な理由
自分が住んでいたアパートの大家さんを殺害した高井容疑者は、住んでいた大阪からわざわざ神奈川の茅ヶ崎まで出かけていき、大家である四方さんの自宅で殺害事件を起こしました。
「なぜ自宅が分かったのか?」というコメントなんかも見かけましたが、通常の賃貸借契約書には貸主の住所が記載されています。
個人であれば自宅でしょうし、法人であっても本業が外資系IT会社ということなので、自宅を本店に登記していた可能性が高いです。
大家さんという職業は、住まいという重要なインフラを提供していながらも、事業の規模としては零細または個人経営がほとんどであることが特徴です。
家賃滞納者に対して提供していたインフラを奪う行為は、こちらが正当だとしても恨みを買いやすいものです。
電気を止められた利用者が電力会社の社長に恨みを持つようなことが滅多にないのに比べて、退去などの法的手段を自分で決めて進めた大家さんは、直接の憎悪の対象になりやすいです。
◆いくらでも防げた・・かもしれない
しかしながら、家賃を支払わないような人に住み続けてもらう訳にもいきません。
「逆恨みで殺されるかも」という理由で滞納の督促ができないようなら、賃貸業という仕事が成り立たなくなってしまいます。
ですが、今回の事件を振り返るに「自分が殺されてしまう」という最悪の結末を防ぐための手段はたくさんあったように思います。
まずは「滞納保証会社を付ける」ということです。
購入時に既に居住していた方であればともかく、容疑者は被害者の大家さんが自分で入居させた人のようです。
保証会社を通していれば、滞納の督促や法的手段は(大家さんの名前を借りる場合があるものの)保証会社が主体となって行うので、大家さんが逆恨みされる可能性はかなり減ります。
電力会社の社長が狙われないのと同じですね。
次に、事務所を作ってそこを拠点とすることです。契約書の「住所」欄にはここを書きます。
これは法人じゃなくても簡単にできます。事務所を自宅とは別に借りている個人事業主は大勢いますよね。
自社の場合も独立した事務所があり、建物はオートロックで簡単に入ることはできず、ビルには多くの人が出入りしているので出入りする人の中から貸主を特定することは難しくなります。
たかが4万円の家賃で人殺しをするような頭の悪い人は、会社の登記簿に代表者の自宅が記載されていることはもちろん、登記簿というものの存在や、それが法務局で閲覧できるということなんか知らないものです。
◆放置、絶対ダメ(温情ではない)
あと、ここが最大のポイントなんですが、容疑者は2017年から家賃を滞納していたということで、5年間も滞納者のまま居住を続けていたことが分かります。
断続的に支払っていた可能性はありますが、一般的に明け渡しが認められる「3ヶ月分の滞納」の状態になっていたのは明らかで、大家さんは「法的手段を取れるけど、やっていなかった」ということになります。
これを温情だと思ったら大間違いで、自分的にはこの長期間の放置こそが、逆恨みを買った最大の原因ではないかと思います。
「例外は、長期間続くと権利になる」のです。
人間とは身勝手な生き物。5年もタダで住ませてくれたのに、今更出て行けなんて酷い!となる訳ですね。
最初の物件を買った頃に、当時の師匠から「3時(ATMからの振込可能な時刻)を過ぎたら即電話」と言われておりました。
これは「滞納は許されない」ということを入居者さんにしっかり認識させ、逆恨みを買うことを防止するためにも、大変有益な教えだったと今では思います。