800万円でなにを買うか
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必要ですよね、自己資金・・ということで、少し前の記事の続き的な話をしたいと思います。
少額の自己資金で大きな物件を買えなくなったいま、どのように投資スタンスを決めていくのが良いのでしょうか。
◆行き詰まりやすい金融資産の額
チャレンジ面談にいらっしゃる方の平均保有金融資産は、1千万円ちょっとくらいですが、もちろんそれ以下の方もたくさんいます。
500万くらいの金融資産しかない人であれば、いったん貯金に励むか覚悟を決めて現金購入系の戸建などを選びますが、600~800万円くらいの人は「融資を受けて不動産を買う」という思いを捨てきれません。
かといって、ノンバンクなど条件が悪く見える融資も使いたがりませんので、このくらいの人が、いま一番行き詰まっているのではないでしょうか。
◆800万円の自己資金を持っていた場合の選択肢
1. 800万円の土地値戸建て
2. 400万円の激安戸建を2戸
3. 7千万円の新築アパート(LTV95)
4. 4千万円の中古アパート(LTV90)LTV80以下になるとまともな投資にならなそう。それぞれ検証してみます。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) September 18, 2020
少し前のツイートで、選択肢を考えてみました。
フルローンやオーバーローンがないとなれば、現実的に採りうる選択肢は上記の4つだと思います。それぞれの選択肢で、どのようなメリット・デメリットがあるのか考えてみましょう。
◆良い場所の土地を買う意外なメリット
まず、土地値戸建。投資の概略については過去の記事をご参照下さい。
東京の足立区や葛飾区など、小さくて古い家が多い地域で土地15~20坪くらいの昭和築の売り物件であれば、このくらいの価格で出ることがあります。
ただし、この価格帯の売り戸建の大半は、再建築ができなかったり借地権だったりするので注意しましょう。買いたいのは家ではなく「土地」です。
特徴を挙げるとこうなります。
・利回りは表面で10%前後
・都内の戸建ということで、入居競争力は高い
・いつでも(古家つきの)土地として売却できる
・共同担保として使える
・修繕費負担のリスクが高い
修繕さえなければ経費率は非常に低いので、毎年の手取り収入は65~70万円くらいでしょうか。
ある程度家賃を回収したあと、退去のタイミングで売却すれば手持ち資金を何割か増やせますが、売却しなくてもこのタイプの不動産であれば共同担保として使うことができます。
家賃回収+本業からの貯蓄で、数年後には一棟もののアパートをフルローンで購入することもできそうです。
◆400万は別に激安ではない
次に、いわゆる「激安系」の戸建を2つ購入する方法を考えてみましょう。
400万円の投資で5.5万円の家賃を得られるような戸建は、探せば割とすぐに見つかるかと思います。土地値系より物件数は多いです。
競争が激しくなっているこの分野ではありますが、本当の達人たちは400万円の戸建など「高すぎて」買いませんから、そこまでスピードを要求されることもないでしょう。
房総半島や横須賀などでこの種の戸建を購入した場合・・
・利回りは13~18%くらい。
・平成築でも十分に狙える。フルリフォームされているお値打ち物件も。
・駐車場があれば賃貸も問題ない
・共同担保として使いにくい
・出口は同じような激安系の人に売却。実需向けは難しい。
このような特徴が考えられます。
このスタイルの良いところは、まず物件が見つかりやすいことです。
ぼくは毎日アットホームで戸建物件をチェックしていますが、土地値系の戸建が1つ見つかるまでに、このくらいの価格帯の戸建が20戸以上売りに出されるくらい数が違います。(もちろん体感値での話です)
また、全財産をはたいてボロっちい戸建を1つ買うよりも、それより新しくて住みやすそうな家を2つに分けて取得するほうが気持ちの負担も小さいでしょう。
2つの戸建から得られる家賃は月に11万円、利回りは16.5%にもなりました。
7年くらい保有すれば手持ち資金を完全回収できる計算です。建物のほうに価値があるため減価償却も取りやすく、税負担も軽減できます。
規模が小さく、土地の価値が低いので共同担保にすることは難しいと思われますが、ある程度自己資金が回復したタイミングで、今度は借入を使った投資をすることも検討できるかと思います。
ローンのない不動産からの収入は、その何割かを本人の「年収」と見て属性判断をしてくれる金融機関もありますから、属性アップを狙うのであれば利回りの高い激安系のほうが向いてます。
ただ、これ以上小さな戸建(例えば200万円×4戸)のようなスタンスをとるのはお薦めしません。建物と入居者のグレードが著しく下がるのと、ハイレベルの購入スピードと修繕スキルが求められるからです。
明日はローンを使う2つの手法について解説します。