不動産投資を「もっと後で」始めるのは得なのか
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不動産投資をそれなりに進めている人であれば、一度は感じたであろう
「もっと早く始めていればよかった」
という思い。今日はこれについて考えてみたいと思います。
◆16年の期間が積み上げたもの
最初に自分の不動産投資について振り返って見ると、2003年に勉強や情報収集などの活動をスタートして、2004年8月に最初の一棟めアパートを富山県に購入しました。
購入前の自己資金は850万円くらい。他に資産なし。
それが16年経過して、年間の賃料収入は1.3億円。売却益も毎年ちょこちょこあって、今は決算書上での純資産は2億円超&個人でも現預金ということで、不動産投資は長く続けることでその真価を発揮します。
貸借対照表の抜粋。総資産10.46億、純資産2.13億円。
参入タイミングとして良い時期、そうでもない時期というのはあるかもしれませんが、基本的に「●●年に新規参入するよりは、その2年後の方が好ましかった」ということはありません。
あんまり良くない時期に始めたとしても、早いに越したことはないのです。
◆高い時期に始めるのは損なのか
こういう話をすると、いろんな反論があります。
例えば「不動産価格が高い時期に買って自己資金を使ってしまうと、その後に安くなった時に購入できない」というもの。
こういう考えは「収益不動産の価格と、融資状況の関連性が分かっていない」ことが原因かと思われます。
収益不動産の価格は、人口動態や株価や為替とはほとんど関係なく、融資が出やすいかどうかで上下しています。
融資が厳しい時期には価格が下がり、緩い時期には価格が上がるので、
・不動産価格が高い時期は融資が緩く、大きなものが買いやすい
・不動産価格が低い時期は融資がきつく、小ぶりなものしか買えない
という原則が、ある程度当てはまります。
だからといって、高値づかみをするのはもちろん良くありませんが、数年前なら2億円の一棟ものが買えたような属性の人が、いま数千万円のアパートでさえ融資付けに苦労していることもまた現実なのです。
◆属性が十分に上がってからのスタートは?
相場についての意見だけではありません。こんな意見はどうでしょう?
「自分はいま25歳で、年収も属性も高くないので金融機関から評価されません。あと10年くらい経ってそれなりの給与額になったらチャレンジしたいと思います」
これは、先ほどの相場の話よりは説得力があります・・というか、合理的な考え方ではあります。
しかし、25歳という若さで不動産投資のことを知れたという幸運&チャンスを、みすみす見逃してしまうのはやはりもったいない気がしますね。
これが例えば「いまは契約社員ですが、来年には正社員になって給与も2倍になります」とかなら分かります。来年スタートした方が良いでしょう。
しかし、上記の25歳のように「10年後にスタート」は遅すぎます。
どんなに属性が低くて融資環境が悪い人でも、10年あればひと財産築けますから、10年後に良いスタートを切ったところで、その差を埋めることはできません。
若さを活かして、ボロ戸建とか激安区分を安くリフォームするなどして、しっかり経験を積んでみることをお薦めします。
10年後の「スタートしよう」と計画していた頃には、驚くほどの成果が出ていることと思います。
◆ひとつだけ例外(今やらないほうがいい)
ただし、これには少しだけ例外がありまして、それは「起業したての事業主」だと考えています。
個人法人問わず、事業を立ち上げこれから頑張って売上を増やしていこうという開業ステージ。この段階では手元のキャッシュも安定した利益もおぼつかないので、家賃収入によって経営や生活を安定させたいという気持ちは分かります。
しかし、以前の記事で説明しているように、事業者の不動産投資は「本業がしっかり安定して利益を出している」状態ではじめて成立するものです。
本業がまだまだな状態で不動産などにうつつをぬかすような経営者は、金融機関からの信用を得られません。
また、融資に頼らないような小ぶりな物件を買うくらいなら、その分本業を頑張って利益とキャッシュを積み上げるべきでしょう。
ご自身の本業には、不動産なんかよりも稼げるチャンスや工夫のしどころがたくさんあるはずです。