不動産投資 失敗確定の瞬間とは
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「失敗を恐れるな!」
「成功の反対は失敗ではなく、行動しないこと」
このように、失敗についてポジティブに捉える考え方は、多くの自己啓発セミナーや成功本などに登場します。
しかし、不動産投資の場合は失敗ひとつで人生が再起不能になることもありますし、破産などによって再チャレンジができなくなる可能性もあり、安易に失敗することができません。
◆成否が確定するのは「売ったとき」
不動産投資において、どういう事象が「失敗」なのかは意見が分かれるところです。
思ったほど儲からなかったら失敗なのか。逆に破産するまで失敗ではないのか。
ほとんどの人は、不動産投資で「利益を得たい」と思っているはずなので、この記事においては「損をすること」を失敗ということにしましょう。
では、どういう時点で不動産投資の失敗が確定するのか。以下のツイートをご覧下さい。
◆不動産投資、損失確定の瞬間
これは「売却時」または「売れないままキャッシュアウト」のどちらかです。
だから価値(価格)を維持・向上できるかどうかと流動性は利回りなんかより本当は大切。ただ最初のうちはそこを犠牲にしなきゃならないのも事実で、バランス取るのが難しいです。
— 投資家けーちゃん (@toushikakeichan) December 11, 2020
不動産投資において損失が確定するのは、上記の2ヵ所しかありません。それぞれについて説明しましょう。
どれだけ空室が続こうが、修繕費用に苦しもうが、持っていた物件を売却した時に、そういった支出をはるかに上回る利益をあげることができれば、その投資は成功したと言えます。
予定通りではなかったかもしれませんが、実際に買う前より現金が増えたのであれば、失敗ではないでしょう。
逆にいうと、どれだけ満室経営を維持してようが、潤沢なキャッシュフローを貯め込もうが、売却した時に貯めたお金を吹き飛ばすほどの下落があれば、その投資は失敗に終わる訳です。
◆売れない&維持できない
上記のとおり、売却によって不動産投資が成功したか失敗したかが判明するのですが、不動産の買い手が見つからなかったり、売れる値段で売却しても借金を返しきれなかったりということも起こり得ます。
ローンの残債以上の価格で売却し、繰上返済によって完済しないと当該物件についている抵当権が消えません。ということは売れません。
このような場合でも不動産をずっと売らずに保有していれば損失=失敗は確定しませんが、手元のキャッシュ不足によって毎月のローン返済が滞ると、最終的には物件を取り上げられることになり、やはり失敗が確定します。
それぞれ見ていくと
・月の収支がどれだけ悪くても、高く売れれば全て帳消しになる。
・しかしその逆は難しい。家賃で完全回収しない限り、売却は無視できない。
・売れもせず、キャッシュフローも出ず・・この状態は確実に失敗する。
というのが、不動産投資「成功と失敗の法則」のようです。
◆価値の落ちない物件は買えないというジレンマ
このように考えていくと、不動産投資においては「残債を上回る金額で売れるかどうか」を最重点で考えていくべきで、「キャッシュフローがいくら出るか」をそれに優先させてはいけないということが分かります。
もちろん、キャッシュフローが出ないことは経営を維持できない=強制的な売却につながるということで避けるべきですが、必要以上に多くのCFを求めることによって出口が犠牲になるのであれば本末転倒と言わざるを得ません。
しかし、ネットで物件を探してみると「この物件は立地や築年数を考えると、10年程度は安定して出口を見通せるな」という売り物は、利回りがあまり高くありません。
LTV100に近い融資割合だと、キャッシュフローを維持できないでしょう。
だからといって、安易に高利回り物件を買うとどうなるかというと
・数年後には耐用年数も切れてしまい、融資が付かなくなる(=価格下がる)
・だからといって土地値物件でもないので、更地売却も難しい
・購入者像をイメージしても、自分と同じような弱小投資家だけ
というような未来が待ち受けています。
となると、高利回り物件を買って(CFを出すために仕方なく)から、何らかのバリューアップを施して自分で価値を維持・向上していくしかない・・という結論につながります。
自己資金をドカンと出して、良い場所の築浅物件を買えれば良いのですがそうもいかず、投資初心者のうちは各方向ふさがっている中で上手なバランスをとりつつ、いろんな妥協を繰り返して進んでいくしかありません。