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まとめるメリット・デメリット

前回の続きで、
「火災保険はまとめると安くなるのか?」についてです。


前述しましたように、火災保険は、
「多構内特殊包括契約」「ファーストロス」を組み合わせることで、
保険料を割引することができます。

とはいえ、普通の大家さんが使えるかというと、
これが、なかなか難しいものがあります。

理由を挙げて説明します。


◆理由その1 普通の大家さんでは規模が小さすぎる。

 上記の契約方式が使えるのは、
 最低でも、保険金額の合計が3億円以上は必要ですし、
 割引メリットが顕著になるのは、30億円以上くらいからです。

 そもそも、火災保険の保険料はイメージよりかなり安く、
 「なんか高いな」と思っていても、それは長期間一括で契約しているからで、
 1年間で100万円以上の火災保険料を払っている大家さんは、 
 そうとうな大規模大家さんであるはずです。

 
◆理由その2 こういう割引は、企業向けの契約がほとんど。

 保険会社によるとは思いますが、このような割引を適用するために

 ・契約者は法人のみ
 ・一般物件、工場物件、倉庫物件のみ(=住宅は対象外)

 などの制限を掛けているところが多いです。


◆理由その3 金融機関と交渉しなければならない。

 これが一番のネックです。

 融資を利用した物件購入の場合には、担保を保全するために、
 金融機関から、保険の「質権設定」がされていることが多いです。

 質権設定とは、質権者である金融機関の承諾なしに、
 保険金の請求や、保険の変更・解約ができなくする仕組みです。


 多構内特殊包括や、ファースト・ロスを適用させるには、
 今ある保険を全部解約して、始期を揃えた1本の契約にするのが必須。
 質権者は手間が掛かるので、すごくいやがります。
 
 しかも、このような特殊契約は、
 保険期間が最長3年程度までしか規定がない場合が多く、
 銀行が指定する、「融資期間に合わせた長期契約」ができません。


ということで、「火災保険はまとめると安くなる」というのは、
現実的には、なかなか難しいというお話でした。


ぼくの場合で、支払っている保険料が、
年換算で、30万円弱くらいです。

5%割引してくれたところで、1万円ちょっとですから、
コストダウンは、他の分野でがんばったほうが良さそうですね。





コメント (2)

なるほど。
よほどの大家さんでないとご縁のない話だったんですね。

ただ今回、
保険は自分のためにかけているだけでなく、
金融機関との付き合い上も重要であることを再認識しました。

実は、年末あたりに保険の見直しを行おうと思っていましたが、
実行の前に、金融機関にも一声かけておかないといけませんね。


昨日の記事のコメントへのレスも読ませて頂きました。
回答頂き、ありがとうございました。

読むたびにナルホドの連発です。
いつも為になる情報をありがとうございます。

凡人大家Nさん

こんにちは。
金融機関との付き合いは、保険を関連会社で加入するより、
投資信託でも買ってあげた方が良いかと思います。

いつもありがとうございます。^^


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