まとめるメリット・デメリット
2011年9月14日 07:44
前回の続きで、
「火災保険はまとめると安くなるのか?」についてです。
前述しましたように、火災保険は、
「多構内特殊包括契約」と「ファーストロス」を組み合わせることで、
保険料を割引することができます。
とはいえ、普通の大家さんが使えるかというと、
これが、なかなか難しいものがあります。
理由を挙げて説明します。
◆理由その1 普通の大家さんでは規模が小さすぎる。
上記の契約方式が使えるのは、
最低でも、保険金額の合計が3億円以上は必要ですし、
割引メリットが顕著になるのは、30億円以上くらいからです。
そもそも、火災保険の保険料はイメージよりかなり安く、
「なんか高いな」と思っていても、それは長期間一括で契約しているからで、
1年間で100万円以上の火災保険料を払っている大家さんは、
そうとうな大規模大家さんであるはずです。
◆理由その2 こういう割引は、企業向けの契約がほとんど。
保険会社によるとは思いますが、このような割引を適用するために
・契約者は法人のみ
・一般物件、工場物件、倉庫物件のみ(=住宅は対象外)
などの制限を掛けているところが多いです。
◆理由その3 金融機関と交渉しなければならない。
これが一番のネックです。
融資を利用した物件購入の場合には、担保を保全するために、
金融機関から、保険の「質権設定」がされていることが多いです。
質権設定とは、質権者である金融機関の承諾なしに、
保険金の請求や、保険の変更・解約ができなくする仕組みです。
多構内特殊包括や、ファースト・ロスを適用させるには、
今ある保険を全部解約して、始期を揃えた1本の契約にするのが必須。
質権者は手間が掛かるので、すごくいやがります。
しかも、このような特殊契約は、
保険期間が最長3年程度までしか規定がない場合が多く、
銀行が指定する、「融資期間に合わせた長期契約」ができません。
ということで、「火災保険はまとめると安くなる」というのは、
現実的には、なかなか難しいというお話でした。
ぼくの場合で、支払っている保険料が、
年換算で、30万円弱くらいです。
5%割引してくれたところで、1万円ちょっとですから、
コストダウンは、他の分野でがんばったほうが良さそうですね。
コメント (2)
なるほど。
よほどの大家さんでないとご縁のない話だったんですね。
ただ今回、
保険は自分のためにかけているだけでなく、
金融機関との付き合い上も重要であることを再認識しました。
実は、年末あたりに保険の見直しを行おうと思っていましたが、
実行の前に、金融機関にも一声かけておかないといけませんね。
昨日の記事のコメントへのレスも読ませて頂きました。
回答頂き、ありがとうございました。
読むたびにナルホドの連発です。
いつも為になる情報をありがとうございます。
投稿者: 凡人大家N | 2011年9月14日 16:45
凡人大家Nさん
こんにちは。
金融機関との付き合いは、保険を関連会社で加入するより、
投資信託でも買ってあげた方が良いかと思います。
いつもありがとうございます。^^
投稿者: 投資家けーちゃん | 2011年9月16日 09:14